カナディアンカヌー作り第35回 ~最後のガンネルを貼り付ける~
2021.02.19
名栗湖周辺の自然にふれると、コロナ禍で混沌とした社会のことなど忘れてしまうほど、ゆったりとした時間が流れている。前回は装飾部分の最難関であるグリップの取り付けを完了させた。今回はデッキを整形しつつ、新たなる作業へと挑む。クルーたちの作業の様子をご覧いただこう。
最後の外側ガンネル貼りで事件発生!?
今回は内側FRPが剥がれたフチの部分や、気泡(空気)が入っている箇所を削って凹凸をなくす作業を進めていく。それに加え、これまで貼り付けた外側のガンネルで気になる部分を整形していく作業も同時進行していく予定だ。
前回はすったもんだありながら、無事にグリップの取り付けを完了させた。装飾部分が増えていくとクルーのテンションも上がる。
◆剥がれた内側FRPの凹凸をきれいに整える
これまで装飾部分の作業を進めてきたが、内側のFRPコーティングを見るとフチの部分が剥がれている箇所がある。今回はそういった部分の凹凸をなくしていくことで、表面を整えるとともに内側FRPコーティングの補強に備えていくのだ。
ミニサンダーを使った研磨はお手の物とばかりに、作業に取り掛かるクルー。小気味よい音を鳴らしながら研磨を進める。
前回取りつけたグリップ付近も丁寧に研磨する。フチ部分のFRPははがれやすいので凹凸をなくせば、あとからコーティングの補強をしたときも気泡(空気)が入ることもなくなる。
ある程度研磨を進めると、見るからに表面の凹凸がなくなっているのがわかる。こういった細かい作業も楽しい。
研磨作業と同時に、上に張り出したガンネルの凹凸も少し調整していく作業を進める。ガンネルは下側がフラットになるように貼り付けているため、上で見えている表面はかなりデコボコになっている。削ることを考えると、必然的に段差の低い位置に合わせることになるので、ガンネルがどんどん削れてしまう。それを調整するために杉材を補強していくのだ。
段差の低い位置に杉材を当てて、木工用ボンドで張り付けていく。ボンドが固まったら、それを削って高さを整える。
まずは木工用ボンドで杉材を固める。はみ出したボンドは丁寧にタオルで拭き取らないと研磨のときに苦労するのだ。ここで午前中の作業は終了。お昼を挟んでこの作業を継続していく。
◆外側ガンネルが折れる!? 乾燥した冬の空気が原因!
ボンドが固まった午後は、ディスク・グラインダーで出っ張った部分を削っていく。
ある程度ディスク・グラインダーで削ったら、ここからはミニサンダーの出番。ここから表面の高さを微調整していく。
機械を休ませるため休憩を兼ねて周りを見回すと豊かな自然が目に飛び込んでくる。心なしか空気も美味しく感じる。
ミニサンダーで削って表面がフラットになった。先ほどのデコボコ具合から考えると、本当に見違えたようだ。
ここからは、外側の最後のガンネルを貼り付ける作業に取りかかる。まずは木材を重ねて切って、切り口が合うように整えていく。
木材を切り終えたら、ガンネル部分に木工用ボンドを塗る。
クランプで固定していくのだが、一番外側のガンネルなので、外側部分には当て木を入れて固定していく。片側は問題なく終えたのだが……ここで事件が!
片側のガンネルを貼り付けていると、途中で木材がバキッと折れてしまった。これは先端部分に向かうガンネルは上に湾曲するために、ある程度テンションを上にかけながら貼り付けていたことから起こってしまった。もちろん冬独特の乾燥で木材が折れやすくなっていたからかもしれない……。
気を取り直して、また木材をカットするところからスタート。初めて起こった事件に動揺しながらも、とにかく作業を進めるしかない。
作業終了時間も近づいているので、また折れないように気をつけながらも急いでクランプを取りつけていく。
◆今日の作業はここまで!
ガンネルの木材が途中で折れるアクシデントがありながらも、なんとか時間内のガンネルを貼り終えた。クランプが均等に並んでいるカヌーの姿を見ると、作業を終えた充実感が湧き上がってくる。
次回は、貼り付けた外側ガンネルを削ったり、細かい調整作業を進めていく予定だ。もうカヌー制作も終盤に近付いていると思いきや、まだ2回目の外側FRPコーティングも終えていないし、当然、研磨も残っている。まだまだやることはたくさんあるのだ。はやく湖に浮かぶカヌーの姿が見たいと妄想するクルーたちであった。第36回へ続く。
◆作業の様子を動画でCheck!
カナディアンカヌー作りのコーナー(過去記事)はこちらから!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai