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H2O Style

カナディアンカヌー作り第32回 ~デッキ組みの必勝法~

2020.12.18

秋の気配が漂ってきている名栗湖を望むカヌー工房。周辺には今日も、木材を削る小気味よい機械音が響き渡っている。前回は装飾部分であるデッキを組みつつ、オール削りの続きを行った。今回も引き続き、デッキを組み上げる作業を継続していくが、工程の中でも慎重に作業しなければいけない箇所なので、丁寧に作業していこうと心に誓うクルーたちであった。

デッキ組みを頑張るクルーに町田さんの神の手が!

カヌー作りの工程のなかでも、かなりの時間を要する作業であるデッキの組み上げ。H2O Style のクルーたちもご多分に漏れず、作業スピードが遅くなっている。そんなクルーの状況を見かねて、工房長の町田さんから、まさに“神”といえるアドバイスをいただいた。作業スピードが上がっていく様子をご覧いただこう。

前回はデッキ組みのボンドが乾く間に、オールを削ったが今回のデッキ組みでは、そんな暇はない!?

◆工房長の助言で作業効率が格段にアップ!

デッキの見えない部分である下側の隙間を作らないように、慎重に組み上げていたため作業がなかなか進まないと嘆いていたクルーを見かねて、工房長の町田さんがデッキ組の必勝法を伝授してくれた。「見本のパーツを作ります」と言って、クルーがのこぎりでカットし、ミニサンダーで削って作りだしていたデッキのパーツを、ディスク・グラインダーでいとも簡単に作り出していく。

町田さんによるとデッキのパーツというのは、複雑に組みあがっているようではあるが、角度と削り幅はすべてのパーツがほぼほぼ同じとのこと。要するに、その削り幅と角度で左右のパーツを量産していけば、理論上は瞬く間にデッキが組みあがっていくそうなのだ。
これは金言! ということで、町田さんに作ってもらった見本のパーツを量産していくことに。

善は急げということで、まずは杉材をのこぎりでカットしていく。この作業は慣れたもの。

見本のパーツをトレースする感じで、町田さんの様にディスク・グラインダーを使い、角度をつけて削っていく。

ディスク・グラインダーはちょっと力を入れるとすぐ削れるし、直線的には削れないので慎重に作業を進める。

上が町田さんの見本。下が今削ったパーツ。角度が足りないが、見本には確実に近づいている。

角度が違ったので、見本パーツの角度をしっかりとトレースする。

そしてまたディスク・グラインダーでその角度と幅に削っていくと……。

上はクルーが削ったパーツ。下が見本のパーツ。ほぼほぼ同じ角度と幅に削れている。ここまでの作業はものの15分ほど。午前中で左右合わせて4本のパーツを作り出すことができた。前回は丸1日で4本しかできないという作業スピードだっただけに、格段にスピードが上がっている。町田さんはやはり“神”なのか!?

◆デッキ組み上げが嘘のように快調に進む

午後も快調にデッキパーツを削っていく。ものの30分ほどで2本のパーツを作ることができた。

削り上げたパーツは不揃いな長さなので、余分な長さをカットする。1本ずつ切るより3本まとめて切ったほうが早い。

削った6本の余分な長さをカットする。簡単にパーツができてしまって、前回の作業は何だったのかと拍子抜けする。

これから木工用ボンドを塗るのだが、まずは作ったパーツを当ててみると、気持ちいいぐらいぴったりフィットする。

塗る面を確認しながらボンドを塗っていく。ボンドがはみ出さないような絶妙な量だ(自画自賛)。

ボンドを塗ったパーツを、デッキ部分にグッと押し込んでいく。

左右両方のパーツにボンドを塗ってはめ込んだら、木片を押し込んで固定していく。これはクランプがはいる隙間がないので、こういった固定方法になるのだ。

ボンドが乾くまで少しの間、小休憩を兼ねて空を見上げると先ほどまでは青空だったのに、少し雲がかかっている。カヌー工房は山に近い場所にあるため天気は変わりやすいと改めて感じる。

上記の作業を繰り返し、本日削り出したパーツ6本分をボンドで張り付けていく。

そして最後に先ほどと同じように木片を押し込んで固定する。

後々、表面を削るのではみ出したボンドをタオルで拭き取っていく。
これで完了だ。

◆今日の作業はここまで!

上から見るとしっかり交互にパーツがハマっているのがわかる。ボンドの拭き取りは甘いがデッキ組み上げが格段に進んだことがわかる。

次回、あと少しでデッキは完成しそうだ。装飾部分はこのデッキ組み上げに、グリップを取り付けて、最後に外側のガンネルを貼り付けるのみとなった。それが終われば最後のFRPコーティングがまっている。先はまだまだ長いが、なんとなくカヌーが完成する青写真が見えてきた気がする。今後もこの調子で作業を続けていきたい。次回、第33回へ続く。

◆作業の様子を動画でCheck!

 

STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai

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