カナディアンカヌー作り第31回 ~デッキ組みの合間にオールを削る~
2020.11.27
立っているだけで汗がにじみ出る猛暑を越えた名栗湖周辺。紅葉の時期はまだちょっとだけ先のようだが、確実に秋の気配は漂ってきている。前回はヨークにクサビを打ちこむ作業を終えて、デッキの組み立ての続きを行った。作業的に終盤に差し掛かってきた気配もあるが、装飾部分は見栄えを左右するので、丁寧に作業していきたい。
カヌーの見栄えにかかわる重要なデッキ組み立て
今回も、デッキを組み立てる作業を継続していく。ただ、デッキを張ると木工用ボンドが乾くまで、待ち時間ができることになる。無駄な時間を作らないように、ボンドが乾く間にできる作業をしていくことになった。
前回はヨークにクサビを打ち込む作業に挑んだ。ドリルを使う作業には緊張したが、概ね問題なく作業できた。
◆デッキの組み立てと並行して違う作業を進める
前回おしくも時間切れとなってしまい張ることができなかったデッキパーツを発見! というわけで、久しぶりに制作に参加してクルーの一人が手始めにデッキを1枚貼り付けることに。
デッキの木材にボンドを塗っていくと……。久しぶりの作業ということもあり、貼り付ける面と逆側にボンドを塗ってしまった……。これは幸先が悪い。うーん、嫌な予感が……(汗)
ボンドを拭き取って、やっと1枚を貼り付けた。以後、ボンドを塗る面は間違えないように気をつけようと心に固く誓うクルー。
通常はクランプで固定するのだが、本日は2枚貼りたいので一時的な固定としてクリップを使う。
1枚貼り付けたので、もう一枚の木材をカットしていく。デッキの角度に合わせるように角度をつけながら木材をカットしなければいけないのだが、この斜めにカットしていくというのが実際にやってみると本当に難しい……(汗)
カットした木材をデッキ部分にピッタリと隙間がないように貼り合わせていくのだが、ノコギリでカットしただけではまだ隙間があってしっかりハマらないため、ミニサンダーで余分な箇所を削り微調整していく。
ここで副工房長の山田さんからアドバイスが。木材を固定してミニサンダーを動かすよりも、山田さんが実演してくれたようにミニサンダーを固定して削るほうが、断面が真っ直ぐ整うとのこと。これはいいアドバイスを聞いた!
試行錯誤の末、削っていくとピッタリハマった! この瞬間がたまらないんです!くぅ~!(川平慈英風)
先ほどと同じ轍を踏まぬように、しっかり確認してボンドを塗り……。
時間的にお昼に近づいてきたため、こちらはクランプで固定。区切りがいいので、ここでランチタイムに。
◆午後は作業途中だったオールを削っていく
ボンドが乾くまでデッキの続きはできないので、午後は削りかけだったオールを仕上げていく。1本は途中まで削っていたので、1本を仕上げた後は手つかずの1本を削る。
まだ作業してないオールは接着剤をつけただけなので、まだ角ばっている。ディスク・グラインダーでこの角をとっていくのだ。
四角の木材は角を削ると八角形になる。その八角形の角をとっていくことで、多角形を作り、円に近づけていく。
ある程度、角がとれたらミニサンダーに替えて、表面を整える。ミニサンダーを使うことで、どんどん表面が滑らかになっていくのだ。
ミニサンダーは長時間作業していると腕に負担がかかるため、10~15分作業したら休憩が必要だ。休憩中に名栗湖を見ると湖面が静かに風で揺れている。心地よい気温だが、この周辺が紅葉になるころには少し肌寒くなるのだろう。
そして、数時間の格闘の末、オールの削りが終わってクルーの顔もスッキリ。
◆今日の作業はここまで!
◆Before
木材を接着剤で張り付けただけのオールの柄の先端部分をディスク・グラインダーとミニサンダーを使って削ると……。
◆After
角を落として表面を整えるだけで、こんなにキレイな仕上がりに。グラインダーやサンダーを使い始めて1年半。道具に慣れてきたからこそ、短時間で仕上げることができた。この調子で細かい部分の微調整などきっちりと仕上げていきたい。
◆After
角ばった柄の部分も楕円に近づいてきた。明らかに削る前より、表面が滑らかになっているのがわかる。
◆After
パドルの部分もディスク・グラインダーで削り、角をミニサンダーで整えただけで完全にオールに見える(ドヤ顔)
今回はデッキ組み立ての合間に、オールを削る作業を行った。作業が変わると気分も変わるので集中力が切れず、効率もいいようだ。次回もデッキ組み立てとオール削りを継続していくが、副工房長の山田さんから「合間で、カヌーを漕ぐときに腰掛けるチェアも作りましょう!」と嬉しい提案も。
こちらがカヌーを漕ぐときに腰掛けるためのチェア。
作業が終盤だと思っていたが、まだまだやることは多い様子。慢心せず初心を忘るべからずの精神で作業を継続していこうと誓うクルーたちであった。次回、第32回へ続く。
◆作業の様子を動画でCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai