カナディアンカヌー作り第29回
~カヌーの外観が大きく変化! ヨークの取り付けに挑む~
2020.11.02
ガンネルやデッキなどカヌーの装飾部分となるパーツを取り付けてきたカヌー作り。今回は新たな装飾部分を取り付けに。しかも、カヌーの外観が大きく変化する“ヨーク”と呼ばれるパーツを取り付ける作業となる。今回も丁寧な手仕事を心がけつつ、カヌー作りに向き合っていきたい。
以前削ったヨークを取り付ける
デッキ張りにテンションの上がった前回。今回も工房長の町田さんから「今日はヨークを取り付けましょう」と提案が……。ヨークといえば、カヌー作り第22回の時に削った装飾のパーツだ。カヌーの外観ががらりと変わる作業への指示に、クルーも興奮を抑えられない。その模様をご覧いただこう。
前回はデッキの1枚目を張り付けた。装飾部分が出来上がっていくたびに、カヌーらしくなっていく姿を見ると、なんだか感慨深い。
◆3枚目のガンネル貼り付けからスタート
今回ヨークを取り付けることは決定したが、まずは3枚目のガンネルを張るところから作用開始。ガンネルの材料になる杉材を選んでいく。
杉材1本では船体はカバーしきれないので、継ぎ目を作ることを考えて片側で2本ずつ計4本の杉材をピックアップした。
前々回の様に2本を合わせて杉材をカットしていく。切断面がぴったり重なるので、継ぎやすくなるのだ。
船体側のガンネルにボンドをつけ、すばやく木工用ボンドで接着し、クランプで固定していく。
あっという間に片側の半分のガンネルが取り付けられた。最初にガンネルを張り付けたときより、格段にスピードが上がっている。成長の証だ(自画自賛)。
先端の飛び出た部分をカットしていく。ノコギリでのカットもかなり上手になってきた……気がする(笑)
クランプで固定するとガンネルの隙間から木工用ボンドがあふれてくる。それを濡れタオルで拭き取るのも忘れてはいけない作業だ。固まったボンドをそのままにしておくと後々、苦労するのだ。
カメラマンの金井も加わり、チームプレイでガンネルをスピーディーに貼り付けていく。
あっという間に両側のガンネル張りが終了。キリがいいので、お昼ご飯の時間に。
気温も上がりまさに夏日! 途中、水分を補給をしながら見る名栗湖の美しい景色が、疲れたクルーたちの心を癒してくれた。
◆いよいよ待望のヨークを取り付ける!
まずは船体に合わせてみて、どれぐらいの長さでカットするかラインを引いていく。工房長の町田さん曰く、短くなりすぎないようにガンネルの外側に2~3cmの余裕を持たせた位置でカットするのがコツだそうだ。
ヨークは丈夫で硬く、耐久性のあるヒノキ材だ。カットするのも大きなサイズのノコギリを使う。かなり硬いが迷いなくカットしていく。
カヌーの船体の内側は、一度外側に広がって下のほうに行くにつれて内側にアールを描くような形状。だからヨークはカタカナの「ハ」の字になるように斜めにカットしていくのだ。
迷いなくカットしたので断面もかなりキレイに。このカットを逆側でも行っていく。
カットしたら実際にはめ込んでみて、長さを確認していく。ヨーク自体をおさえておかないと落ちるほど、短くなるのはNG。はめ込んでキツイぐらいがちょうどいいのだ。
上側はピッタリはまっているようにみえるが、横から見ると下部分が浮いているのがわかる。これを微調整していくのだ。
上部分を少しカットしていく。微妙なラインだけに繊細な作業が要求される。
当ててみたら、まだ上のほうが出っ張っていたのでミニサンダーで削る。こういった微調整を数回繰り返して、ピッタリはめられた。
ヨークの接着にも強力なエポキシ接着剤を使用する。粘り気が強いし、すぐ乾くので時間との勝負に。
断面に接着剤を伸ばしていく。接着剤がはみ出さないように中央を中心に塗るのがコツとのこと。
断面に接着剤をつけ終わったら、ヨークをはめ込む。そのあと、ハタガネで固定していく。固定するときにヨークがズレるのでヨークをおさえながらの作業になる。
ヨークが落下しないように、ハタガネとヨークをビニールテープで結んで固定する。これで完璧だ。細かいところまで抜かりなし!
◆今日の作業はここまで!
船体にヨークがついたことで、完成時のカヌーの姿に近づいてきた。ヨークの断面を削る作業はかなり神経を使ったが、頑張った分だけ充実感もハンパない!
収録中の一コマ。エンディングのカットを撮影中。
次回は残る研磨をやりつつ、今回取り付けたヨークの固定、そしてデッキ張りなど、まだまだ細かい作業は残っている。次回からの作業もしっかり頑張ろうと決心しながら、心地よい疲労感に包まれつつ、工房を後にするクルーたちであった。次回、第30回へ続く。
◆作業の様子を動画でCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai