カナディアンカヌー作り第25回 ~美しい名栗湖を眺めながら根気よく研磨を継続~
2020.08.14
作業場の目の前は名栗湖。作業中、顔を上げれば目の前には絶景が! この美しい景色を眺めながら作業できるのも、ここ名栗カヌー工房の魅力。前回は、自粛期間前に行った内側FRPコーディングの研磨を開始した。カヌー作りの全工程の中でも、かなり難しく時間がかかるといわれている工程だけに、今回も引き続き、内側FRP研磨を進めることになる。
目の前に広がる名栗湖が心のオアシス!?
前回から内側のFRP研磨に取り掛かり、手応えとしては研磨工程の約半分ぐらいは進んだと思っていた。しかし、日を改めて作業の仕上がりを見直してみると……(苦笑)
というわけで、今回も根気よく内側FRP研磨に勤しむのであった。
全体の表面をなんとなく研磨したかに見えていたものの、仕上がり自体を見ると実際は3分の1ほどしか進んでいなかった……。
気合を入れて研磨に挑む!!
◆完成図を頭に描きながら無心で研磨!
研磨した後の白い粉がかぶっていて見えなかったが、FRPコーティングが液だれしたような箇所が数か所見受けられた。全体を研磨するのも大事だが、こういった細部をキレイに仕上げていくのもポイントだ。
液だれしている部分はコーティングの厚みがあるので、ミニサンダーよりディスク・グラインダーで削るのがベター。不器用なクルーだとコーティング自体を削り取ってしまうので、ここは繊細な作業が得意なカメラマンにバトンタッチ! 適材適所で助け合いながら作業を進めるのが『H2O Style』の流儀です(笑)
内側の船底に近い丸みを帯びている部分(通称、R「アール」)は、平らなミニサンダーの“面”を当てるのに苦労する。なかなか力が伝わりにくいので、研磨も時間がかかるのだ。
ミニサンダーが「ヴィィーーーーン」という小気味よい音を立てながら、白い粉を飛ばしていく。手にもかなり振動が来るので、休み休みしながらの作業になる。
前回も言及したが、縁の部分は硬化したガラスクロスが飛び出していて危ないので、ひっかけると怪我をする可能性も。縁にミニサンダーを当てながら丁寧に切り取っていく。
絵変わりがないので、なかなかカメラマン泣かせの作業でもある内側研磨だが集中して作業したせいか、あっという間にお昼ご飯の時間に。船底には、研磨で削られたFRPコーティングの白い粉がたまっていた。これを見るたびに少しずつでも作業が進んでいると実感することができる。
◆引き続き、内側の研磨に集中する!
お昼休憩をはさみ、内側研磨を再開する。この日は朝から小雨が降っていたものの、降ったりやんだりを繰り返していた。蒸し暑さは変わらないので、水分を取りながら作業する。
こちらは我々のカヌーの船首部分。まだ研磨も終わってないので装飾もつけられていない状態。
こちらは隣で作業していた方の船首。完成に近い工程まで来ているので、ガンネル(縁)部分に厚く板が張られたり、先端もデッキやグリップなどの装飾がつけられている。こういった完成図を想像すると、かなりモチベーションが上がるのだ!
テンションが上がったところで、研磨を再開。R(アール)部分もしっかりとミニサンダーをあてて削っていく。
内側にかがみこむ感じの態勢になるため、長時間の作業は正直かなりしんどい。粉塵が舞うため本当はゴーグル着用が望ましいが、湿気が多いのでゴーグルもすぐに曇ってしまう。これもご愛嬌ということで……。
◆今日の作業はここまで!
◆Before
一度研磨をかけて、まだらのようになっていた部分が……
◆After
まだらな部分がすこしキレイになっていることがわかる。このようによく見なければわからない部分までしっかりこだわることで、後々の仕上がりに影響してくるのだ。
今回も懸命に内側FRPを進めたが、まだ工程の5分の3ほどが終了したに過ぎない。やはり、内側研磨は一筋縄ではいかない作業であることがわかった。次回も内側FRP研磨を続けていくが、工房長の町田さんの提案で「外側ガンネル張りも同時に進めましょう」ということに。作業が変わることでモチベーションも保てるので、ありがたい提案だ。内側研磨は進んでいるか進んでいないかがわかりにくい作業ではあるが、引き続き丁寧に作業を進めていきたい。次回、第26回へ続く。
◆作業の様子を動画でCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai