カナディアンカヌー作り第21回 ~内側研磨の仕上げ~
2020.04.20
三寒四温のこの頃。世界的にコロナウイルスが猛威を振るっていますが、そんな影響もなく名栗湖やカヌー工房には徐々に春が近づいてきている様子。第21回を迎えたカヌー作りも内側の研磨を継続中だ。なにかと苦労の絶えない研磨であるが、ここを丁寧にやっておくことで後々の仕上がりがキレイになるので、しっかりと取り組んでいきたい。(※非常事態宣言が出される以前に撮影&執筆したものです)
工具が届かない部分はもちろん手作業
前回はグラインダーやミニサンダーを使っての内側研磨を継続していたが、今回は電動工具の届かない先端部分の研磨を行っていく。ノミとサンドペーパーを使っての手作業となるので、かなり時間がかかる工程となる。しかし内側のFRPを考えると極力、段差をなくしていくのが賢明だ。
ディスク・グラインダーやミニサンダーでの研磨はスピードも速いが粉塵もスゴイ。手作業での研磨はどうなるのか……。
◆電動工具は偉大なり!
本日使うのはノミと仕上げに使うミニサンダー、そしてサンドペーパーとなる。手作業だからこそ慎重に作業をこなしていきたい。
先端はかなり凸凹で段差がついているのだが、工具が届かないので手作業で削っていく。
こちら側から見るとカヌーになにか細工をしようとする不審者に見えるが、安心してください! ちゃんと削ってますよ!
ノミで削った後は、ひたすらサンドペーパーで表面を整えていく。今まで、工具に頼っていたので、手作業がいかに大変ということが身に染みる。文明の利器(電動工具)は偉大だ。
サンドペーパーをかけていると、意外に木くずが溜まっていたので、エアコンプレッサーできれいにする。粉塵が風に舞っている花粉みたいに見えて、少しゾッとした……。
ここで午前中の作業は終了。
◆バウ・スターン部分の出っ張りも削る
午後も引き続き、手作業での研磨を続ける。
名栗湖ではワカサギ釣りをしている人もチラホラ。世界情勢は色々と慌ただしいが、カヌー工房は今日も平和だ。
先端部分の研磨を終えたら、次はバウ・スターン部の重ねた木材を削っていく。写真のような出っ張りがあるのだが、この木材はヒノキなので結構硬いとのこと。ディスク・グラインダーを使って削っていく。
まずは工房長の町田さんが「こうやってディスク・グラインダーをあてて……」とレクチャーしてくれる。
教わったとおりに、工具が入る部分までディスク・グラインダーで削り。
そのあとは、先ほどと同じサンドペーパーで削るのだがヒノキが硬く、ここでもひと苦労。
内側の研磨が終わったら削れている部分や、研磨で薄くなった部分にパテ埋めを施していく。おなじみの道具を用意しつつ、木くずに木工用ボンドを混ぜてパテを作っていく。
よーく見ると杉材がえぐれている部分が。こういった箇所はFRPを施す時にシミのように目立ってしまうのでパテ埋めを施すのだ。
ヘラを使いながら、丁寧に穴を埋めて……。
こんなにきれいに仕上がった。パテ埋めをした後は、乾くと変色して目立つので、次回、乾いた後にミニサンダーで研磨すると本体の色と馴染むのだ。
◆今日の作業はここまで!
研磨という仕上がりのキレイさを左右する作業を終えた今回。頑張った甲斐もあり、工房長の町田さんも「かなりいい感じで仕上がっていますね」と太鼓判を押してくれる。社交辞令とわかっていても、その言葉だけでモチベーションがあがるのだ。次は天気が良ければ、いよいよ内側のFRPを貼る作業に移行する。次回、第22回へ続く。
動画で作業工程をCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai