カナディアンカヌー作り第18回 ~ついに木型がとれる!?~
2020.02.21
前回は外側の基礎となるガンネルを1枚貼り終えた。次の作業はガンネルの基礎を元に上に張り出た部分を削っていく作業だ。その前に、いよいよカヌーの形を成す“竜骨”といわれる木型を外す作業にも着手することになる。カヌー制作をはじめて約1年。だいぶカヌーらしい形になってきた。令和元年の最後となる作業も心を込めてこなしたいところだ。
2019年の締めは感慨深い“型抜き”を!
ガンネルの基礎を貼った前回。クランプだらけのインパクトのある姿になったH2O Styleのカヌー。1週間たった今回は接着剤も乾いているので、ガンネルの部分までディスク・グラインダーで削っていく作業を行う。その前にやっと……というべき“型抜き”が待っている。型を抜いたら、カヌー本来の姿になるのは本当にこみ上げてくるものがある。
前回でも、このカヌーの姿に感動したのだが、今回はそれ以上の感情が生まれそうな予感。
◆芯材からビスを抜く作業に四苦八苦する
作業開始時の副工房長の山田さんの説明を受けるクルーだが、「今日はまず型を抜きましょう」と声をかけられ、うれしいながらも少し戸惑う。まずは、このように芯材に打ち付けられているビスを抜いていく作業から。
中央の5番と呼ばれる木型を固定するビスはむき出しになっている。目視できるのでドライバーで抜くのも苦労しない。
ビスを抜いて、横から木槌でたたくと木型が抜ける!
中央にある5番の木型を抜いて、うれしさのあまり“とったど~!”ポーズを決める。
木型を抜くと、カヌーが変形してしまうので、それを防ぐために基準板を貼り付けなければならない。木型の長さを測りつつ、鉛筆で印をつけていく。
この基準板をピラニア(ノコギリ)で切っていく。
これを仮クギで打ち付けて固定する。久々の仮クギ打ちで、手が震える。
緊張の結果、案の定、失敗。この後、ちゃんと打ち直しました。この基準板は3番と4番の木型の間にも打ち付けるので、合計3本を打つことになる。
木型抜きを再開。一番の難所である2番と呼ばれるバウとスターン(船首と船尾)の端に固定されている木型のビスは目視できないので、手を突っ込んでビスの位置を確認しながらミニラチェットドライバーを回す作業になる。
10分の格闘の末、やっとこさビスを抜くことに成功!
外した木型がコレ。この木型と芯材があることでカヌーを運ぶのも苦労するほど重いのだが、これが外れた瞬間に、軽くなるのだ。
木型を抜いたカヌーの姿。副工房長の山田さん曰く「これで運ぶのが楽になりますよ」とのこと。実際に持ってみると本当に軽く、二人でもラクラク運べる重量に。木型を抜いて午前中の作業は終了。
◆削り作業で劇的にカヌーのカタチが変わる!
午後はこのディスク・グラインダーを使っての削り作業。ガンネルの基礎となる部分を基準に上に張り出た部分を削るのだ。
この出っ張りを削る。ディスク・グラインダーは勢いよく削れるので、慎重に削っていく。
基準の部分をしっかり確認しながらの削り作業は、意外に時間がかかる。
ここでカメラマン金井も作業に加わり、逆のサイドを削っていくので、作業効率も上がる。
バウとスターンの張り出た部分も削っていく。
削っていると粉塵が舞うので、ゴーグルとマスクは必須。それも気にならないぐらい作業に没頭する。
先端部分までは基礎の部分に沿って削るが、先端部分は横から刃を当てて、切り取る感じに。
かなりキレイに削り取れたことがわかる。
◆今日の作業はここまで!
◆Before
ガンネルも階段状になっていたカヌーが……。
◆After
芯材や木型も抜かれ、まさに“カヌー”という姿があらわれた。
今回は2019年最後の作業ということで終了後の一枚も、副工房長の山田さん含め、カヌー工房の方々も一緒にパシャリ。2019年の初めからスタートしたカヌー作り。地道な作業を重ね、ようやくカヌーの形になった。自分たちが作ったカヌーを見ていると本当にこみ上げてくるものがある。そんな感動を1年の最後に味わえて、本当に幸せ者だと噛み締めたクルーたちであった。次回は2020年の初回となるが、この感動を忘れずに丁寧な作業を心がけていきたい。第19回へ続く。
◆カヌー作りの様子を動画でCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai