カナディアンカヌー作り第17回 ~基礎ガンネル貼り~
2020.02.07
前回、前々回と試練の研磨がやっと終了した。次なる作業は外側のガンネルを1枚板で張り付けること。これを貼ればやっと木型が取れるのだ。徐々にカヌーの“完成形”が見えてくる。はやる気持ちを押さえつつも丁寧な作業を心がけたいものだ。今回は基礎ガンネル貼りをリポートする。
クランプだらけのカヌーの姿は荘厳な雰囲気が漂う
見た目以上にハードな研磨作業を終えたクルーたち。実は昨年の台風15号、19号の被害で、カヌー工房へ続く道が土砂崩れで通行止めに。工房自体が営業できない状態が続き、1カ月丸々作業ができない時期があった。2019年12月にようやく工房の営業も再開。営業再開の報告を聞き、嬉々として工房へ向かったのだ。
久々のカヌー作りにテンション高めのクルーたち。今日行う作業内容はカヌーの外側にガンネル(舟縁)の元となる一枚の板を張るというもの。船の形ができてくる大事な作業であると同時に、ハードな研磨作業から解放され新たな作業工程のスタートということもありクルーたちの心は踊る。
苦労した研磨。白いボディを見るとあのキツかった作業を思い出してしまう(苦笑)。ただ改めて見直しても美しい仕上がりで、思わずうっとりしてしまう(自画自賛)
◆まずはガンネルの元となる板をカットする
最初にガンネルを固定するための、クランプとクリップを用意。
ガンネルの基礎となる部分の板は1枚では長さが足りないので、継ぎ足すのが基本。これは船体を積み上げていく作業の時によくやっていたことなので、二つの板を重ねて斜めに切る。
ノコギリで切った断面をくっつけるとピッタリ合うので、これで継ぎ足していくのだ。
切り終わった板を仮にガンネル部分へ固定していく。クランプとクリップを駆使しながら仮留めしていく。
クランプで固定するときは、後ろに当て木をつけて、あとが船体に残らないように気をつける。
ガンネルの曲線をイメージしながら仮留め。船首や船尾にいくほど、反り上がっていくのがポイントとのこと。
間隔を空けながら、クランプを留めていくと……。
とりあえず、左右両側を仮留めできた。左右の曲線を合わせられたので、ひと安心。
ガンネルの基礎となる板は長いので、どうしても左右の先端がぶつかってしまう。
片側の板をカットして、お昼の時間に。後半はいよいよ接着剤をつけていく。
◆エポキシ接着剤でガンネルの基礎を貼り付けていく
午後の作業を開始。仮留めしたガンネルの基礎部分の板に沿って鉛筆でマーキングしていく。これを目印に、接着剤で張りつけていくのだ。
次に接着剤を用意する。パドルを貼り付けるときに使ったエポキシ接着剤だ。
黄金色の1液と、透明の2液を混ぜて使う。だが、前回使った時と違い気温が低く、1液が固くなっている。まるで水あめのように伸びるので、容器に入れるのもひと苦労。
2液は、1液ほどではないがやはり固い。こちらもスプーンで容器に取り分ける。
1液と2液を1:1の分量で容器に入れて混ぜる。粘り気が強く、混ぜるのも苦労する。
混ぜた接着剤を、ガンネルの元となる板へ塗っていく。薄く塗るのがポイントだが、心配性なクルーはついつい多く塗ってしまい、あとで後悔するのだ。
カットして継ぎ足しした部分も丁寧に接着剤で張り付けていく。
断面がピタリと合うので、キレイに固定できた。
その後も、接着剤を塗ったガンネルの元を貼り付け、クランプで固定していく。クランプの数は片側で30~40本ぐらいに。この光景は壮観だ。
◆今日の作業はここまで!
◆Before
研磨が終わって、白くなったカヌーの船体に……。
◆After
約90本ぐらいのクランプでガンネル部分を留めた面白い姿に。
左右の反り上りがぴったり合って、大満足のクルー。思わず船首から全体を見渡す。
終わるにはまだ早いが、接着剤が固まるまで数日かかるので、ここで本日の作業は終了。今回も副工房長の山田さんが丁寧に指導してくれた。いつも「いい仕上がりですね! 素晴らしい!」とモチベーションを上げてくれるのが嬉しい。次回はいよいよ木型を外すということで、山田さんも「この木型がとれると、カヌーが劇的に軽くなりますよ」と語ってくれた。どんどん進む作業に充実感を覚えつつ、帰路につくクルーたちであった。次回、第18回へ続く。
作業の様子を動画でCheck!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai