カナディアンカヌー作り第14回 ~FRPコーティング 1回目~
2019.11.25
天候・気候に恵まれず、なかなか作業できなかったFRPコーティング。暑い時期に1回目を終わらせたいところだったが、今回は天候・気候ともに絶好のFRPコーティング日和。前回、前々回と足踏みさせられたこともあって万全を期したわけだが、カヌー作りの要となる第1回目のFRPコーティングは上手くいったのだろうか。
念願のFRPコーティングを実行!
今回は朝から快晴。前日夜も雨が降らなかったことから、副工房長の山田さんからも「今日は絶好のFRPコーティング日和なので、早速開始しましょう!」とうれしいお言葉をいただいた。待ちに待ったFRPコーティングだが、一体どんな作業になるのだろうか? 山田さんに手順をレクチャーしていただきながら慎重にかつ丁寧にこなしていきたいところ。
前回は湿度が高かったため、パドル作りのみで終わってしまった作業。今回は満を持してFRPコーティングにとりかかる!
◆日差しの強い午前中でFRPコーティングを!
本日は気温も高く、コーティングしたらすぐに乾いていくという最高の状態。それだけに日差しの強い午前中にFRPコーティングを終わらせたいところ。まずはカヌーを外の作業場まで運ぶ。磨き上げられた船体は、本当に美しい。
まずは、コーティングの元となるガラス・クロスを船体の上にかぶせていく。このガラス・クロスはその名のとおりガラスを融解し、繊維状にしたガラス繊維。この上からポリエステル樹脂を塗り、硬化させていくのだ。
船体を覆うようにガラス・クロスをかぶせていく。本日は副工房長の山田さんもサポートについてくれるので心強い。ガラス・クロスをかぶせたら、バランスを見ながらクロスをカットしていく。
クロスの端がガンネル部分に合うようにピンを刺していく。シワが寄らないようにクロスをかぶせていくのがポイントだ。
一枚で足りなかった部分は10cmぐらい重なる部分を作りながらピンを刺し、クロスをカットしていく。
船首と船尾部分もバウ・スターン部分から5cmほど残してクロスを張り付けていく。
先ほど残していたバウとスターン部分以外はなんとかクロスで覆うことができた。
バウとスターン部分は10cm幅ぐらいにカットしたクロスをのせていく。これで船体をクロスで覆っていく作業は終了。この時点で気温も上がり、汗だくになった。
クロスの上からハケを使い、このポリエステル樹脂を塗っていく。これが乾くと表面が固まり、コーティングが完了する。樹脂は手につかないように手袋をして作業する。
ノズルが細くなった容器には硬化剤が入っている。ポリエステル樹脂100に対し、硬化剤を1の割合で混ぜていくのだ。硬化剤は試験管でしっかり計って混ぜないと、ドロドロになってしまうそう。
船体の中央部分からエリアごとに分けて左右均等に樹脂を塗っていく。塗った部分は樹脂がクロスに浸透し、きれいな木目が浮き出てくる。
FRPコーティングは時間との勝負なので、午前中に終わらせるように逆側を山田さんが塗ってくれる。
バウとスターン部分に張り付けたカットしたクロスにも樹脂を塗っていく。塗った部分は木目が表れる。
塗っている途中、樹脂がドロドロに。これは気温が高かったために起こる現象なのだとか。
バウ部分の下のほうは樹脂を塗るのもひと苦労。クロスを張り付けながら素早く塗っていく。
全体を満遍なく塗り終わったのだが、今日は気温も高いので、コーティングを厚くするために二度塗りすることに。もう一度、船体の中央部分から左右均等に塗ってく。
ようやく二度塗りも終了。樹脂を塗り始めてから2時間、黙々と作業をしていた。ずっと日なたでコーティング作業していたため、少し熱中症気味に(苦笑)。ここで午前の作業が終了した。
◆午後はパドルの削り作業に着手
前回、接着してハタガネで固定したパドル。ハタガネを外すと、しっかりパドルの形になっている。
まずはブレード部分をディスク・グラインダーで削っていく作業から。中央のグリップ部分に合わせて左右を整えるように削っていく。
ディスク・グラインダーは少し刃を当てるだけで、勢いよく削れてしまうので、注意しながら削る。中央部分に合わせて上手く削れている。
ブレードの左右に丸みをつけるために、鉛筆でガイドラインを書いていく。
削りすぎないように慎重に刃を当てる。ディスク・グラインダーの回転が速くて削った面が少し焦げているのがわかる。
角部分が丸みを帯びてきた。
次はグリップ部分の角をとっていく。ここも刃を薄く当てながら削っていくのがポイントだ。
そして持ち手部分も角をとりながら、中央をくぼませる様に削っていく。ここはカヌーを漕ぐときに握る部分なので丁寧に削る。
まるで野球のバットのような形に削れた。
◆今日の作業はここまで!
Before
ただ木片をくっつけたような本体が……。
After
角が取れて丸みを帯び、パドル然とした形に生まれ変わった。
午後の作業が終わる頃には、午前中頑張ったFRPコーティングが乾いている部分も!
FRPコーティングした船体と削ったパドルを手に恒例の一枚。今回は念願のFRPコーティングができたので、作業工程的にはだいぶ進んだ感じ。ここからコーティングの凹凸をミニサンダーで削っていく作業になるそうだが、本日は第1回目のFRPが完了した満足感を胸に帰路につくことができた。次回は研磨作業を開始! 第15回へ続く。
◆FRPのプロセスと作業に奮闘するクルーたちの様子をご覧ください!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai
Writing:Yasuyuki Ushijima
Movie Photographer:Ren Kanai