カナディアンカヌー作りに挑戦 ~第10回・ミニサンダーでの磨き作業とパテ埋め~
2019.08.30
長引いた2019年の梅雨。山間部に位置する名栗湖周辺は天気も変わりやすく、都市部よりも少し気温が低い。ただ、梅雨独特のまとわりつくような重たい湿気は変わらないまま。しかし汗ばむ気候ながらもクルーたちの心は踊る。なぜならカヌー制作は第10回を迎え、前回から磨き作業に入ったからだ。今回も工房内ではなく、屋根のある屋外での作業、ミニサンダーを使った研磨に励む。
意外に腕に負担が来るサンダーでの研磨
前回、念願の磨き作業に入ったが、まだディスクグラインダーで表面を大まかに磨いただけ。研磨作業は継続だが、今回はミニサンダーを使って表面の凹凸をならしていく作業にとりかかる。この作業を怠り、表面に凸凹があるとFRP(繊維強化プラスチック)コーティング作業時に、気泡ができて上手くコーティングができないとか。気を引き締めて作業していきたいところ。
前回はボディの外側全体をディスクグラインダーで磨いていったが、今回はさらに表面を滑らかにしていく。
◆最初はディスクグラインダーでバウとスターン部分の出っ張りを削る
まずは、カヌー本体を屋外の作業場所へ運ぶ。研磨作業は粉塵が舞うので、外での作業がマスト。この日は雨だったが、カヌー工房には屋根のある作業場もあるのが心強い。
最初に、前回できなかったバウとスターン(船首と船尾)部分の出っ張り部分を削っていく作業から。
今回使う道具はコレ。前回、活躍したディスクグラインダーと、今回使用するミニサンダーは紙やすりを装着して研磨する。
前回の作業を終えて粉塵対策は不可欠ということがわかったので、今回も課金アイテムとしてゴーグルを持参。湿気で曇るが、粉塵をシャットアウトできるのだ!
改めて、作業の続きに。バウとスターン部分の木材を削らないように、出っ張り部分だけを丁寧に削っていく。前回もディスクグラインダーは使用したので、もうその扱いは慣れたもの。
削り終わったら、やはり接着の弱い面が剥がれて、隙間が開いてしまっている。これはボンドを塗ることで補修するのだ。
隙間にボンドを塗りこんで……。
ボンドを塗った箇所をタッカーで固定する。そしていよいよ、ミニサンダーでの研磨作業へ移行する。
まずはミニサンダーに紙やすりを装着する。紙やすりは40番を使用。番手は数字が若いほど目が粗いので、かなり粗めの紙やすりなのだ。
いつものように副工房長の山田和さんがミニサンダーのかけ方をレクチャーしてくれる。
ディスクグラインダーと同じように、本体を両手で持ちながら水平方向に動かして表面を滑らかにしていく。
山田さんに教えていただいたとおりに、ミニサンダーで表面を研磨する。ディスクグラインダーよりも削れないので、何度もミニサンダーを往復させて表面を磨いていくのだ。
粉塵が舞っていないようだが、意外に飛散している。
エアコンプレッサーで船体に積もった粉を飛ばして、午前の作業は終了。
◆ミニサンダーの振動は意外に腕に負担がかかる!?
お昼には、いつも工房でご一緒させてもらう御夫婦の奥様から自家製あんパンの差し入れが! 甘さ控えめで美味だった。こういった工房利用者同士の交流もクルーたちにとっては楽しみのひとつとなっている。
午後もミニサンダーを使った研磨作業の続きを再開。このミニサンダーでの作業は地味に腕に負担がかかり、すぐ筋肉痛になってしまった。
ミニサンダーでの研磨も1時間ほどで終えたので、山田さんと相談して、パテ埋め作業をすることに。パテ埋めとは研磨作業で杉材と杉材の接着が剥がれ、隙間が開いたところを埋めていく作業。船体全体に無数の隙間があるので、かなり大変な作業になりそう。
山田さんにパテを作る工程を説明していただく。まずは容器に木くずを適量入れていく。
次に木工用ボンドも適量入れて、木くずと混ぜていく。
軽くツノが立つぐらいの粘り気を残して、パテが完成。
まずは隙間にパテを流し込み……。
ヘラで表面を伸ばしていく。パテが乾くと埋めた箇所が沈むので、少し隙間が盛りあがった状態にするのがコツだとか。
表面のパテを濡れタオルでキレイに拭き取って完成。これを船体全体に施していく。次回はパテ埋めだけで1日かかりそうな予感……。
◆今日の作業はここまで!
パテ埋め作業に没頭していたら、あっという間に作業終了の時間に。最後の山田さんチェックも「グッド!」との評価が! 嬉しい限りだ。懸命に作業していたので、清々しさの中にも疲労感が残る。
恒例の作業後の1枚。今日で研磨作業の第一段階が終わったので、次回、パテ埋めを完成させれば、いよいよFRPコーティングに突入かも!? FRPは天候にも左右されるので、どうなるかわからないが、未知なる作業にワクワクするクルーたちであった。第11回に続く!
◆ミニサンダーを使った研磨作業の様子を動画で公開!
STAFF CREDIT
Photography:Ren Kanai、H2O Style
Writing:Yasuyuki Ushijima