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H2O Style

トレンドに左右されない逸品たち
~ボクの相棒、それは永遠の定番アイテム~ 第12回

2020.10.23

酸いも甘いも経験してきたOVER30(オーバーサーティ)の男性であれば、それなりの審美眼も備わっているハズ。そんな世代の人たちにこそ読んで欲しいのがこのコーナー。『H2O Style』のスタッフ自らが実際に購入し、愛用しつづける逸品たちにフォーカスをあてその魅力をクローズアップ! 第12回はヴァンズのオーセンティックを紹介!

ブランドのルーツでもあり永久定番モデルとして人気

昨今のスニーカーシーンではクッション性のある厚底の個性的なスニーカーが高い支持率を得ている。しかし、そのトレンドとは真逆といってもいいクラシックなデザインのスニーカーも相変わらず人気なのも事実。そのなかでもVANS(ヴァンズ)はいつの時代も変わることなく、クラシックなデザインを貫き続け、高い人気を誇っている。今回は履いたことがある人も多いであろうヴァンズのオーセンティックを紹介したい。

VANS(ヴァンズ)は1966年にポール・ヴァン・ドーレン(Paul Van Doren)が3人の仲間とともに店をオープンしたのがはじまり。「ヴァン(Van)とその仲間たち」ということでブランド名が「VANS(ヴァンズ)」となったとのこと。ブランドがスタートしてからは、今回紹介する「オーセンティック」をベースにカスタムオーダーの受注生産でシューズを製造していたそうだ。1970年代に入るとシューズの評判を聞きつけ、多くのスケーターがヴァンズを愛用するようになった。そのスケーターの中には、伝説的スケートチームZ-BOYS(ジーボーイズ)の中心メンバーでもあったトニー・アルバやステイシー・ペラルタも愛用し、彼らが作り上げた定番モデルも存在している。

筆者がヴァンズを最初に履いたのは中学生のころで、その時に愛用していたモデルはSK-8 HI(スケートハイ)だった。もちろんスケーターではなかったのだが……(苦笑)。そこからスリッポン、そしてオーセンティックへと変遷していった流れだ。当時はスケートをやるわけでもないので、クッション性も重視していなかったし、完全にデザインのみに惹かれて着こなしに取り入れていたが、その頃から着こなしへの汎用性は高かったことを覚えている。

ヴァンズにはオーセンティックと似たエラというモデルも存在するが、その見分け方はこの履き口を見れば一目瞭然。オーセンティックは履き口の内側にクッションがなく薄い。エラはこの履き口の内側にパッドのようなクッションが配置されているので、履き心地はエラのほうが上。(筆者私物)

どんな着こなしでも“こなれ感”をもたらす稀有な存在

オーセンティックに話を戻そう。
筆者がオーセンティックを最初に履いたのは、高校生の頃。その頃もヴァンズは依然として人気を得ていて、筆者も履いたことのあるスケートハイが一番人気だったと記憶している。筆者はあまのじゃくな質なので、スケートハイに変わる自分と相性の良いモデルを探していて、行き着いたのがオーセンティックだった。履いた色は確かソールが白でアッパーが黒の超無難なカラー。その頃は極太のバギーパンツを腰で履くスタイルが流行っていて、GIベルトを長く垂らすのがトレンドだった。部活で顔も日焼けしていたこともあり、そのスタイルにオーセンティックを合わせていたのだから、かなりわかりやすい“丘サーファー(死語)”だったに違いない。

そんな苦い思い出もありつつ、ヴァンズとは切っても切れない間柄になった(と勝手に思っている)。ストリートな着こなしには当然スケートハイを合わせていたし、サイドのサーフラインが特徴のオールドスクールにもお世話になった。そして時は流れ、今から10年ほど前に西海岸スタイルが潮流になったときに、再度オーセンティックに足を通した。定番のワッフルソールは、グリップ力はあるが相変わらず固くて“この感じ……(涙)”とノスタルジックな感覚に陥ったものだ。それからは数年に一度はオーセンティックを買い足し、確か4~5年前に購入したのが、このティファニーブルーといわれるカラーリング。

履き心地は正直、いいとはいえない。なんなら、履くたびに靴擦れもできる(個人的感想です)。ただ、着こなしを自然体にする、いわゆる“こなれ感”を作り出してくれる力は半端ない。ショーツなどのカジュアルなスタイルはもちろん、黒や白を選べばスラックスやセットアップを着るようなキレイめなスタイルとも相性がいい。だからこそ、この人気は本物だといえる。筆者もおそらく、死ぬまでヴァンズのオーセンティックを履くだろう。そういったシューズがこの世にいくつあるかはわからないが、数少ないモデルであるのは確かなので、これからも大事に履いていきたいと思う。

ヴァンズの大きな特徴ともなっているのが、このワッフルソール。ヴァンズをはじめとするレトロなスニーカーはこのラバーソールをバルカナイズド製法で接着しているので耐久性も高く、どんなに古いモデルも加水分解はしないといわれている。(筆者私物)

 

STAFF CREDIT
Writing:Yasuyuki Ushijima

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