カヌー×キャンプ×フライフィッシング 道東/釧路川編
旅の仲間たちと釧路湿原を目指す Part3
2020.04.10
タンチョウヅルに見守られながら向かうは釧路湿原。狙うは幻のイトウ。カナディアンカヌーで下る釧路川リバートリップ&フィッシングの最終章。
リバートリップ最終日。キャスティングにも熱が入る
はやいもので3日間の仲間たちとのリバートリップ&フィッシングも今日が最終日だ。しっとりした空気に包まれながら目を覚まし、朝食を済ませ、テントをたたむ。早々に辻さんのハイエースで昨日の上陸地点まで移動し、出発準備をする。ここまでの釣果がウグイのみのフライチーム。リバートリップがメインとはいえ、さすがに今日こそは絵になるメインの獲物を釣り上げたい。
さっそうと釧路川に滑り出す。パドルを持つ手が力強い。もう仲間たちに初日のような迷いはない。小雨がぱらつく中、はやる心を抑えつつ時折あらわれる湿原特有の倒木を越えて進んでいく。濡れた頬が気持ちいい。ここぞと思うポイントでカヌーを止め、4人が各々、獲物がいそうなポイントに丁寧にキャスティングしていくと早速ルアーチームに獲物がかかる。背中の虫食い模様も綺麗な40cmオーバーのアメマスだ。フライチームも続きたいのだが、気ばかりが焦るばかりで、なかなか釣果に現れない。が、昼食もそこそこにキャスティングをしているとロッドにヌルッとした感覚が走る。あ、この感じは……またヤツか。そう諦めながら引いてみると、そこにはなんと30cmにも満たない可愛いアメマス! やっときた! チビッコだが狙っていた獲物には変わりない。
やはり幻の獲物は幻なのか???
リバートリップもタイムオーバーまで後わずか。あと5分だけ、あと1キャストだけをなんど繰り返しただろう。するとリトリーブ中に突然味わったことのない衝撃がドンッと腕に伝わる。ラインとロッドが持っていかれそうになり、体が硬直した。ほんの一瞬の出来事で何が起こったかわからなかった。ラインを引き寄せてみると1Xのリーダーに直結していたフライがなくなっていた。あわせ切れ……。普段7Xという細いリーダー、ティペットでヤマメやイワナを釣っている自分からしたら1Xのリーダーはタコ糸のようなもの。それががこんなたやすく切れるものなのか。しばし呆然とし、そして悔しさがこみ上げてくる。
辻さんに聞くと、このあたりにニジマスはいないそうで、逃した獲物はもしかしたらイトウではないかと。まぁつまるところ、幻の獲物は幻のままということか。帰り際、湿原に囲まれた水の上では、はやくも今度はいつ来ようか、どこに行こうかなどと次の旅の話で盛り上がる。どうやら知らず知らずのうちに抜け出せないオーバー30の魅惑の世界にどっぷり浸かってしまったようだ。
旅のナビゲーターはこの方!
STAFF CREDIT
Photography:Takaaki Tsukahara、Ryota Tsuji
Writing:Takaaki Tsukahara