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はたして天塩川にイトウの姿を見ることができるのか!? ~2019 晩秋の道北編を振り返る~ part3
2021.03.12
さて、晩秋改め初冬の北海道フライフィッシングの旅もいよいよ大詰め。最終日は綿雪の舞う天塩川本流で本命のイトウを狙う。キャメル号で向かうのは天塩川中下流域。はたしてover40のへっぽこフライフィッシャーに女神は微笑んでくれるのだろうか?
本命の天塩川でメーターオーバーを狙う
北海道三日目。降雪は相変わらずだけど、風はだいぶ落ち着いている。絶好(?)のフライフィッシング日和だ。鉛色の寒空の下、天塩川へ向かう。まわりは一面の雪景色。はたしてこの状況で釣れるのか甚だ不安ではあるが、辻さんを信じることにする。
ロッドを片手に結構な深さの雪を踏み分けながら河畔へとむかうだけでテンションが上がってくる。なんというか、異次元(笑) 正直これだけでスゲー楽しいっ!!! カナダのスチールヘッドのウインターランとかもこんな感じなのだろうか? 早く釣りたいのに悴んだ指先のせいでラインがうまく結べなくもどかしい。落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせながらキャスティングしていく。
すると急にドンとアタリが来た。図太いトルクで逃げ回る。デカい! もしかしたら!? はやる気持ちを抑えつつ慎重にランディングすると40cm少々のアメマスが。えっ?っと拍子抜けしてしまった。丸々としてはいるが朱鞠内湖のアメマスよりもむしろ小ぶりだ。本流のアメマスはこんなにも引きが違うのか。
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だれの足跡もない雪原を歩いて川を目指す。ロッドを持っていなければ晩秋の釣行というよりは、むしろ雪中行軍。
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雪の中、ワンキャストツーステップダウンで釣り下るが、スリーキャストもするとガイドが凍りつく。
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まさに雪のアート、スノーモンスターとはよく言ったもの。まだ11月なのに立派に育ってる。
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残念ながらイトウではなかったけれども、小ぶりながらなかなかの引きを楽しませてくれた。
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立派なヒレのアメマス。このサイズであの引きなら、イトウが掛かったらどうなるのだろう?
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これが結氷の始まりか。天塩川はこの時期から結氷が始まり、1月〜2月は完全結氷する。
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氷を踏み分けると乾いた小気味いい音が響く。北国生まれの人は子供のころによくやったはず!
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荒涼とした雪原を二人で進む。まさにinto the wild。河畔林を抜けた先にあるのはパラダイスか?
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辻シェフの温かい肉そばが冷え切った体を温めてくれる。腹が満たされたらもうひと勝負だ。
目標は達成できなかったが、最高のフライフィッシング
辻さんに案内されながらポイントを移動していく。案内されるポイントはどこも川のヌシがいそうな絶好のポイントばかりなのに、お魚さんたちが、へっぽこキャスティングのフライに食いついてくれる気配は一向にない。それでも楽しい。気温はマイナスを下回り、のそのそと雪が降り頻る中、半ば結氷しかけている天塩川に浸かりながら、只々修行僧のようにロッドを振っているだけで最高に楽しいのだ。もう全てが麻痺している。いや、麻痺ではなく覚醒してしまったに違いない。辻さんの「変態さんですね」のひとことがめちゃくちゃ嬉しかった。
結局最終日の釣果は朝イチで釣り上げたアメマス1匹。今回の釣行では3匹であったが、それ以上に冬の道北でフライフィッシングをするという貴重な体験がなによりの成果であった。もっとも開いてはいけない扉を開いてしまった感はあるのだけれども……。
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今ここでキャスティングをしているということだけで笑いがこみ上げてくる。側から見たらバカにしか見えない。
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2、3回キャスティングするとご覧のようにビッチリと凍りつく。これがなかなかの強敵。
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全長256kmの天塩川、今このタイミングで川に入り釣りをしているのははたして何人いるのだろう……。
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ひょっこり顔を出したキタキツネ。ここまで近づいてくるということは人に慣れているのだろうか?
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この辺りは夏場は背丈以上の葦で覆われ入り込めない場所。冬の釣りならではのポイントへと向かう。
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ダブハンの方が手返しがよくロングキャストできるはずなのに、付け焼き刃の練習では全く持って飛ばない。
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ラストチャンスに賭け、朝イチでアメマスを釣り上げたポイントに戻ってみるも、結果は惨敗。
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最後に感覚のなくなったつま先にお湯をかけてもらったが、これがまた天国! 生き返るとはまさにこのこと。
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エゾ鹿肉のステーキで贅沢な反省会。捌いたばかりという新鮮な肉は臭みもなく、めちゃくちゃうまかった。
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釣果は渋かったがそれ以上の貴重な体験ができた。またこの時期の道北に来ようと心に誓う。
旅のナビゲーターはこの方!
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三日間の密度の濃い晩秋の道北プランを楽しませてくれたのは、おなじみリバートリップキャメルの主宰、辻亮多さん。オンシーズンはリバートリップを中心に、オフシーズンはスノーピクニックなどの雪遊びと、人数やレベルに合わせてガイドを提案してくれる。
STAFF CREDIT
Photography:Takaaki Tsukahara & Ryota Tsuji
Writing:Takaaki Tsukahara