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H2O Style

トレンドに左右されない逸品たち
~ボクの相棒、それは永遠の定番アイテム~ 第6回

2019.01.07

酸いも甘いも経験してきたOVER30(オーバーサーティ)の男性であれば、それなりの審美眼も備わっているハズ。そんな世代の人たちにこそ読んで欲しいのがこのコーナー。『H2O Style』のスタッフ自らが実際に購入し、愛用しつづける逸品たちにフォーカスをあてその魅力をクローズアップ! 第6回はパラブーツのミカエル フォックをご紹介!

現在は生産を終了してしまったフォックシリーズ

前回、前々回とウェアの紹介が続いたが、初心に帰り、シューズに話を戻そうと思う。今回は、パラブーツのミカエルを紹介しよう。
パラブーツといえば、フランス人の創業者がアメリカを訪れた際に、現地の人たちが雨水から靴を守るためのオーバーシューズを使っていることにヒントを得て、その特徴でもあるラバーソールの靴を創り始めたのが始まりのブランド。こちらのミカエルは登山靴を起源とするチロリアンシューズをベースに作られた同ブランドのアイコンモデルだ。OVER30世代でも、定番のシャンボードや今回のミカエルを所有し、履いたことがある人も多いだろう。

チロリアンシューズは元々アルプス山脈の高原地帯で使用されていたブーツの流れを汲むタイプのデザインでアイレット(シューレースホール)が2~3個なので脱ぎ履きしやすかったり、タン部分が靴本体と繋がる一体化構造により小石などが入りづらい造りであるのが特徴。このミカエルはそんな個性もあり、革靴ながらカジュアルに合わせやすいシューズとして人気を得ている。
だが、このフォックシリーズは一味違う。アッパーにあしらわれたのがアザラシの毛であり、そのデザインが秋冬の着こなしにほっこり感を与えてくれるのだ。

アザラシファーは2000年前半まではそれほど希少でもなかった。だが、2009年にEUで取引が制限されて以来、急激に生産数、そして流通数が減ってしまった。今ではもう新品のミカエル フォックは手に入らないとされている。(筆者私物)

同じ模様が二つとないアザラシファーが最大の魅力

パラブーツの中でもフォックは、このミカエルやランス(ローファーのようなモデル)のアッパーにアザラシの毛をあしらったシリーズで、秋冬には高い人気を誇っていた。実はこのフォックシリーズは、あのエルメスがアザラシの毛を使用して別注したのが始まり。検索すればわかるが、このエルメス別注モデルも実在する。もちろんオークションなどで、高値で取引されているので、気になる方は調べてほしい。

このアザラシファーはその個体で、毛の模様や色が異なるため、ひとつとして同じデザインがない。だからこそ、足元でのインパクトが他と一線を画す。しかもファーであるのに、アザラシの毛ということで、やや撥水性も備えているのが大きなポイントだ。

そんなミカエルのフォック、現在は残念ながら生産されていない事実上の廃番モデルとなっている。その理由は、ワシントン条約の改正によりアザラシの捕獲に規制が掛かったためで、アザラシファーが使えなくなってしまったためだ。だから、現在では廃番となっていて市場には流通していない。だからこそ手に入れたい人はオークションなどで入手するしかなくないのが現状だ。

レアなミカエル フォック(もちろんミカエルにもいえる)ではあるが、購入する際に気を付けてほしいのはサイジング。アイレットが2~3個というところで、ホールド感が弱いため大きめのサイズを買ってしまうと、歩行中に踵が抜けてしまう。それ以外はデザイン、履き心地ともに全く問題ないので、かなりオススメだ。またこのフォックシリーズを探していて、サイズが合った場合は前述したとおり、事実上の廃番モデルなので即ゲットするのが得策だ。

パラブーツといえばこのラバーソール。ミカエル フォックにはGRIFFソールというラバーソールが採用されている。同ブランドで通常採用されているソールよりもやや薄めだが、雨など天候の悪い日に滑りづらいなど、機能性はしっかり備えている。(筆者私物)

 

STAFF CREDIT
Writing:Yasuyuki Ushijima

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