トレンドに左右されない逸品たち
~ボクの相棒、それは永遠の定番アイテム~ 第5回
2018.10.31
酸いも甘いも経験してきたOVER30(オーバーサーティ)の男性であれば、それなりの審美眼も備わっているハズ。そんな世代の人たちにこそ読んで欲しいのがこのコーナー。『H2O Style』のスタッフ自らが実際に購入し、愛用しつづける逸品たちにフォーカスをあてその魅力をクローズアップ! 第5回はバラクータのG9を紹介!
この年代になってはじめてその魅力に気づく
本企画が始まって初のウェアとなった前回に続き、今回もアパレルを紹介したい。1937年にイギリス、マンチェスターにてジョン・ミラー兄弟によって創業されたバラクータ。ブランドを象徴するアイテムといえば、おなじみのG9だ。
スウィングトップといわれるブルゾンは、OVER30世代にとっては父親たちの世代がこぞって着ていたブランドとしても懐かしいアイテムかもしれない。実はスウィングトップというのはゴルフ用のブルゾンをさした和製英語で、肩の可動域が高いラグランスリーブや、リブ編みになった袖や裾などスポーティなディテールが特徴的なところからその名前がついたそうだ。海外ではハリントンジャケットと呼ばれるのが一般的となっている。
そして1948年に発表されたのがG9。その完成されたデザインはさまざまなブランドがこぞってリリースするブルゾンの原型となっている。元々、レインウェアとして生まれたG9は、もちろん英国紳士達がゴルフをするときのウェアとして着られたのだが、その使い勝手の良さが人気となり、銀幕のスターたちにも愛されるアイテムとなったのだ。OVER50の方たちには、スティーブ・マックイーンや高倉健さんが着ている印象が強いだろう。それほど硬派な男のイメージがするアウターといえる。
シャープな着こなしを楽しむべく、シルエットもスマートに
ここ最近、注目されているG9だが、自分も40歳をすぎて初めて気がついたことがある。こういったブルゾンは中年になり肩部分に肉がのるなど加齢による身体の変化によりフィットしていく。だからこそ、若いときは見向きもしなかったのだが、ここ数年“オヤジになったな”と感じる時期になったからこそ、気になるアイテムとして注目したのかもしれない。
もちろん、オリジナルのデザインは身幅も広く、アーム部分も太いなど、かなり野暮ったさが目立つアイテムであった。だが、近年の人気によって多くのファッショニスタたちに注目されたことで、万人が着られるように、シルエット調整が施された。それにより若い世代でも着られるように、スタイリッシュなシルエットに昇華されたので、OVER30世代が着ても様になるアイテムに進化した。また、近年ではインナーに機能素材のGORE-TEX®やCOOLMAX®が取り入れられるなど、素材面でもアップデートが施されているので、今後もさらなる進化が期待できそうだ。
最後にOVER30が気になるのは、やはり着こなし方だろう。筆者はシャツにタイドアップして、スラックスとスウェードシューズを合わせるなど、ややキレイめに着こなしているが、もちろんデニムなどにも合わせられるし、G9自体のサイズ感を変更すれば、太めのパンツに合わせることも可能だ。ただ、G9が着られるような年齢になったのだから、“オヤジ臭い”と言われないためにも、上品な着こなしに合わせるように心掛けたい。もちろん、ユーティリティ性が高いアイテムなので、どんな着こなしにも合うから、今の時期、薄手のアウターを探しているのであれば、是非、チェックしてみて欲しい。
STAFF CREDIT
Writing:Yasuyuki Ushijima