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H2O Style

トレンドに左右されない逸品たち
~ボクの相棒、それは永遠の定番アイテム~ 第17回

2021.12.24

酸いも甘いも経験してきたOVER30(オーバーサーティ)の男性であれば、それなりの審美眼も備わっているハズ。そんな世代の人たちにこそ読んで欲しいのがこのコーナー。『H2O Style』のスタッフ自らが実際に購入し、愛用しつづける逸品たちにフォーカスをあてその魅力をクローズアップ! 第17回はジャーマントレーナーを紹介!

素朴なシンプルさこそが大人スタイルの足元で主張する

激動の2021年も残すところ、あと1か月半ほど。朝夕はようやく肌寒くなってきたものの、晴れの日の昼間はまだロングスリーブTシャツ1枚でも過ごせてしまう気候。革靴やブーツなどを履きたいところだが、ちょっと二の足を踏んでしまう……、ファッション的には悩ましい日々が続いている。そんな時期の足元はキレイめのスニーカーに限る。そこで活躍するのが、ジャーマントレーナーだ。

ジャーマントレーナーといえば、筆者が雑誌ライターとしてストリートファッション誌で執筆していた頃から、度々注目されていたシューズ。その名のとおり1970~90年代ごろに旧西ドイツ軍がトレーニングシューズとして採用していたスニーカーだ。ドイツ発の大手スポーツブランドであるアディダスやプーマが、自社工場にて軍規格として生産していて、これらの製品が軍で使用されていたそう。
ジャーマントレーナーは軍用シューズだったこともあり、一切無駄のないシンプルな構造とデザインが特徴だ。機能面を重視して作られているため、非常に合理的で動きやすい作りとなっていて、アッパーとソールを圧着した「バルカナイズ製法」を採用しているのも大きなポイントとなっている。

筆者も若かりし頃、撮影で何度か見かけたが、あまりピンとこなかったのが正直なところ。それもそのはず、当時はナイキエアマックス95などのハイテクスニーカーが全盛の時代だったから、ローテクデザインはあまり響かなかったのだ。サッカー好きの筆者は、西ドイツ(当時、サッカーW杯で優勝するほどサッカーの強豪国だった)から生まれたという自出自体が、気になっていたのを覚えている。

職人がひとつひとつ手作業で成型し、バルカナイズド製法で圧着した頑丈なゴムソールもジャーマントレーナーの特徴。このガムソールとホワイトレザーの組み合わせも、エレガントさを強調してくれる。(筆者私物)

メゾンブランドなどがこぞってリプロダクトして話題に!

知る人ぞ知るシューズだったジャーマントレーナーが一躍脚光を浴びたのは、メゾンマルジェラが同シューズをリプロダクトし、「REPLICA」として発売したことだろう。確か2002年のコレクションだったと記憶している(間違っていたらごめんなさい……)。そこから一気に風向きが変わり、猫も杓子もジャーマントレーナーとばかりに、様々なブランドがリプロダクトするようになった。

ここでもあまのじゃくな筆者は、“ジャーマントレーナー、意外にいいな”と思いつつも、購入し履くところまではいかなかった。人と被るのがイヤだったからだ。そこでもグッと我慢して購入を控えたが、ついに重い腰を上げたのが2020年。筆者も40代を超え、定番やスタンダードなものの良さが身に染みてわかるようになってきた時期だった。そこで、ビームスがリプロダクトしたジャーマントレーナーに飛びついたのだ。

ジャーマントレーナーのヴィジュアルは当時から変わっていない。基本的にはスウェードとレザーを組み合わせたシンプルなデザインで、細身のスタイリッシュなシルエットとなっている。もちろん細身だけに、人によっては普段よりサイズアップしないときつく感じることがあるかもしれない。ミニマルな外見は大人な印象を与えてくれ、コーディネートをエレガントに格上げしてくれる。筆者は軍パンやスラックスなどと合わせているが、これほど、こなれた感じに仕上げてくれるスニーカーはなかなかない。

もっと早くこのジャーマントレーナーの魅力に気づき、履きこなしておくべきだったと、若干後悔しているほど。ただ、大人になった今だからこそ、このスニーカーの本質が分かったのだと思うので、これからはジャーマントレーナーを大事に履きこなしていきたいと思う。

特徴的なスウェードとレザーのコンビ。このアイコニックな組み合わせこそがジャーマントレーナーの真骨頂。ちなみにホワイトは一般向けにも販売されていたらしいが、ブラックは指導者が履くカラーだったため、あまり馴染みがなかったそうだ。(筆者私物)

STAFF CREDIT
Photography:Yasuyuki Ushijima
Writing:Yasuyuki Ushijima

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