カヌー×キャンプ×フライフィッシング
都心から4時間の道北で極上のリバートリップを満喫 Part1
2018.10.22
カナディアンカヌーで自由に川を下りながら、たまに釣り糸を垂れ、腹が空いたら食事をとり、高く澄み渡った空の下で昼寝をする。そんなOVER30(オーバーサーティ)ならではの、のんびり気ままな旅を初秋の北海道で堪能してきた。
目の前に広がる絶景の中、憧れのカヌーに乗り至福の時を過ごす
9月の下旬、都内ではまだ汗ばむような暑さが続く中、ちょっと遅めの夏休みを取り、向かったのは北海道北部の天塩川。日本第4位の大本流でありながら、護岸工事が少なく自然豊かな川だ。短い時間ではあるが、この美しい川でカヌー、キャンプ、フライフィッシングと贅沢三昧の夏休みを堪能しようという目論見なのである。ちなみに自分はカヌー未経験、キャンプはほとんどやらず、フライフィッシングは渓流と管理釣り場でしか経験がない。そのために、どうしても会いたかった人がいる。道北を中心にカヌーを使った水辺のガイドをしているリバートリップキャメル(http://camel-trip.biz)の辻亮多さんだ。自然をこよなく愛するカヌーイストである。
道北の自然をぞんぶんに味わう大人のプラン
今回オーダーしたのは『綺麗な景色の中でカヌーと釣りをして、自然の中で朝を迎えたい』ということだけで、あとは辻さんにおまかせ。その回答が天塩川のカヌーキャンプ&フィッシングトリップだ。釣りで狙うはもちろん天然のニジマス、ワイルドレインボー! そんな大きな夢を抱き、広い川幅、力強い流れの天塩川にカナディアンカヌーで恐る恐る漕ぎ出す。はじめは「失敗できないぞ」と緊張していたが、水面近くでホバリングするカワセミや、空高く飛ぶミサゴ、そして川辺に訪れる秋の気配にすぐさま心を奪われる。いつしか緊張は期待と興奮に変わり、知らず識らずのうちにパドルを操り、のんびりとたゆたうように川を下っていた。
日本最北の大本流にいよいよキャスティング
休憩タイムでさっそくフライフィッシングに挑戦してみる。が、初めての大本流での釣り、どこにどうしていいのやら皆目見当がつかない。辻さんにポイントを教えてもらうも、普段渓流で使っている3番の7ftの竿と比べたら、今回初めて使う7番の9ftはまるで物干し竿。全くもって思い通りのポイントに投げられない。それでもカヌーというものは便利なもので、ウェーディングでは行けないようなポイントまで気兼ねなしに近づけてしまうのである。これはチート以外の何物でもない(笑)
キャスティングの練習も兼ねて何度かポイントを狙ってみると、突然根掛かりのような感触。力強く引いてみると、突然ラインが持って行かれた。デカイ! 初めてのタックルでろくにドラグの調整もしていなかったので、力強いトルクでズルズルとラインが引き出される。焦って辻さんを呼ぶ。竿を立てずに焦らずゆっくりと、というアドバイスを聞きながら、ロッドティップを右へ左へ。寄せては引き、寄せては引きを繰り返し、なんとか岸に寄せ、辻さんにランディングしてもらおうとした瞬間にフッとロッドが軽くなる。逃げられた。残念。その後も何度か場所を変えてトライするが、アタリがない。
夢のようないち日の終わり。ただひとつの心残りがあるが……
なんとなく夕暮れ前にキャンプ地に到着。お気に入りの場所を見つけテントを張り、夕食と焚き火用の薪を集める。調理は辻さんに任せ、日没までのわずかな時間に、目の前の川で性懲りも無くキャスティング。が、やはり釣れない。フライフィッシングがメインの旅ではないといえ、1匹ぐらいは釣れてもらいたい。きっとこの景色の中でワイルドレインボーが釣れたらさぞかし気持ちがいいだろうなぁ、という思いとは裏腹に、結局この日の釣果はゼロであった。
それでも空を見上げれば、とろりとした優しい色の黄昏時の空が広がり、目の前には辻さんが腕によりをかけて作ったディナー。もう何もいうことはない。焚き火を囲いながらたわいのない話をしていると、 気づけばば夜も更け、澄んだ空に月が高く上がっている。明日こそはと翌日のリベンジを誓い、寝袋に潜り込んだ。
STAFF CREDIT
Photography:Takaaki Tsukahara
Writing:Takaaki Tsukahara