退屈な日常にちょっとだけ刺激を!!

H2O Style

世界にひとつだけの木製マグカップを作ろう!

2018.08.01

よさそうなモノや楽しそうな遊びに目がない『H2O Style』。今回、ホビー班のスタッフが注目するのは木製マグカップ「KUKSA(ククサ)」だ。なんともお洒落な木のカップを、なんと鎌倉で自作することができるらしい。

KUKSAって何だ?

北欧~ロシアにまたがったラップランド地方には、北方先住民・サーメ人が住む。そのサーメ人たちに古くから伝わる木製のマグカップが「KUKSA」だ。白樺のコブをくり抜いて削り出すという。贈られた人に幸せをもたらすという言い伝えがあり、北欧では結婚祝いや出産祝いの定番なんだとか。

日本ではお洒落キャンパーの定番アイテムとして有名。白樺のコブは大きくなるのに30年ほどもかかるため、材料は超貴重だ。

日本のブランドが制作キットを販売中

そんな「KUKSA」の制作キットを手がけているブランドが、日本にある。京都のガレージブランド『SomAbito(そまびと)』だ。素材は日本らしくヒノキを使用し、予め削られている度合いに応じて初級、中級、上級とラインナップされている。記事冒頭のメイン写真がまさにそれで、左から初級~上級と並べて撮影した。初級は付属の紙やすりをかけるだけでもまあOK、上級はかなり削らないと手にフィットする形状にはならない。
実際に制作キットを削ってマイカップを作るべく、取材陣はいざ鎌倉へ。鎌倉にあるアウトドアショップ「UPI OUTDOOR 鎌倉」では、キットを買えるだけでなく、店内でナイフを借りて制作することもできるらしいのだ。

鎌倉駅の西口に降り立ち、「UPI OUTDOOR 鎌倉」に到着。線路沿いを歩いて約2分の立地だ。

店内には知る人ぞ知る、こだわりのアウトドアグッズが並ぶ。熟練キャンパーでも新しい発見があることだろう。

「スカンジナビアのアウトドアカルチャーを発信」がコンセプトのショップなので、スウェーデンのナイフブランド『Morakniv(モーラナイフ)』製品が大充実。

店に入ると、まず目につくのが『Fjallraven(フェールラーベン)』のバックパック。取材陣をカラフルに迎えてくれた。こちらもスウェーデンのアウトドアブランド。

店内で「KUKSA」の制作体験

さっそく「KUKSA」の制作を体験させてもらうことに。挑戦するのはホビー班のスタッフ。『H2O Style』では燻製をやったり一畳菜園をやったりと、遊び人ポジションで活動している。そして指導してくれる先生は店長の横倉さん。ナイフの扱いや火起こしに長けた、アウトドアの遊び人だ。

中級の制作キットで「KUKSA」の手作りに挑戦! キットの中には半完成カップのほか、仕上げに使う紙やすりと説明書が入っている。¥3,900+TAX。

店長の横倉雅大さん。「UPI OUTDOOR 鎌倉」ではアウトドアスキルを学べる各種イベントを開催しており、人にスキル的なことを教えるのはお手のものだ。

店内で作業する場合は、木工ナイフを無料でレンタルすることができる。さまざまな種類があり、用途に応じて使い分け可能だ。もちろんナイフを購入してもOK(¥3,800~+TAX)。

作業を中断して「KUKSA」を持って帰り、後日再訪してまた店内作業……といった図工室的な利用もOKだそうだ。横倉さんのアドバイスも受けられるので、店内作業のメリットは大きい。

 

まずは横倉さんにナイフの扱い方を教えてもらった。最初に教わった大原則は、ナイフを大きく動かさないこと。少しずつ削ることで失敗しにくくなるし、怪我の予防にもなる。
そしてナイフの動かし方だが、押すときは左手の親指を使い、引くときは右手を握り込むようにしてナイフを引き寄せる。

右利きの場合、左手の親指で押し込んでナイフを入れる。このアクション、鉛筆削りで経験のある読者も多いことだろう。

押すだけではキレイに削れない場面も出てくる。木目には方向性があり、木目を逆立てるような方向でナイフを入れると、ガタガタになってしまうからだ。

引いて削る場合のアクションがこちら。指の腹でナイフを握り……(つづく)。

(つづき)手のひらを握り込んでナイフを引き寄せる。刃先が親指に届かないので、怪我しにくい方法だ。

実際に削ってみよう

さあ、いよいよ自分で削ってみる。完成まで3~4時間ほどかかるらしいが、取材時間中にどこまで進められるか? ちなみに「完成」という状態は制作する人によってさまざま。口に当たる部分の薄さや取っ手のフォルムなど、どう転んでも世界にひとつだけのマグカップが出来上がる。では「KUKSA」作り、スタート!

腕まくりをしてヤル気充分! 横倉さんの説明が上手で、きっとうまくできると思い込ませてくれた。

押すパターンの削り方はバッチリ。鉛筆削りなどで経験があるし、刃先が自分方向に向かって来ない安心感も大きい。

引くパターンの削り方も難しくはなかった。横倉さんの言う通りにやると、たしかに刃先が親指に届かず、怪我をする心配はなさそう。

欲張らずに少しずつ、少しずつ削っていく。この真剣な表情、周囲にはディレクターやカメラマンもいるのだが、完全に夢中になっている。

思ったよりカンタンかも

ほんの10分ほどの作業で、カップはほんのりと丸みを帯びた。木工ナイフを初めて握ってコレなのだから、キャンプなどで頻繁にナイフを使っている人なら、もっと削り進んだことだろう。3~4時間で完成するというのは本当のようだ。

営業時間中にお邪魔したので、本日の作業はここまで。また店に来て作業を再開してもいいし、家に持ち帰って自分のナイフで完成させてもいい……ん、自分のナイフ?

勢いでナイフを自腹購入! 木工ナイフではなく、ブッシュクラフトに使えるアウトドア用を買った。木工ナイフの方が「KUKSA」は削りやすいがキャンプでも使えるものを選んだ。

完成したらプレゼント

納得いくまで削り込み、クルミの油などを塗れば「KUKSA」は完成。出来上がったら大切な人にプレゼントしよう。木製なのでメンテナンスは必要だが、風合いの経年変化が楽しめるし、一生モノのアイテムとして喜ばれるはずだ。

完成したらこんなふうに……? 「UPI OUTDOOR 鎌倉」では完成品の「KUKSA」も購入できる。価格は¥12,000+TAX。

以上、「UPI OUTDOOR 鎌倉」で扱っている「KUKSA」の制作キットをご紹介した。店内で削り始めた「KUKSA」は、スタッフが自宅で少しずつ削り続けている。完成したら『H2O Style』の公式SNSにポストするので、ぜひ仕上がりを確認してほしい。

「KUKSA」を削っている時間は、無心になれる。無心になっている時間とは、すなわちストレスが解消されている時間だ。最後に、取材中に横倉さんが発した何気ない一言を紹介して、記事を締めくくりたい。

「木を削る時間は、心の無駄な部分を削る時間でもあります」(横倉さん)

 

問い合わせ先:
UPI OUTDOOR 鎌倉
神奈川県鎌倉市御成町13-36
0467-53-7845
11:00-19:00(水曜定休)
https://upioutdoorkamakura.com/

 
STAFF CREDIT
Photography:Takaaki Tsukahara
Writing:Minoru Akiba

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