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燻製道楽2018秋 ~メスティンでやってみた(後編)~

2018.12.05

「trangiaのメスティンを燻製に使えないか?」と挑戦してみたものの、スモークウッドを使った燻製は、成功とは言い難い出来ばえだった(前編参照)。というわけで後編では、スモークチップを使ったローストビーフに挑戦!

チップなら煙は出るはず

前編では味付きゆで卵とチーズを、メスティン内で燻製しようとしてみた。しかし思ったよりもスモークウッドがくすぶらず(煙が出ず)、色も香りも物足りない仕上がりに………。

前編で燻製したゆで卵とチーズ。「燻製した」と言うには恥ずかしい色づきで、パッと見で失敗とわかってしまう。

ちなみに以前燻製したゆで卵(と手羽中)がこちら。ゆで卵は燻製で失敗しにくい食材の代表格。簡単に旨そうな色と香りがつくのだが……。

ならばスモークチップを使用し、ガスによって熱してくすぶらせれば、否応なく煙が出るのではないかと考えた。前編ではスモークウッド自身のくすぶりだけが頼りだったので、空気の流れの悪さに負けてしまったが、熱源があれば力づくでカバーできるかもしれない。というわけで、ローストビーフで試してみることに。

牛モモ肉を用意した。市販のシーズニングも同時購入。自分の好みで塩コショウやスパイスを振ってもいいが、食品メーカーが本気で手がけたシーズニングは、手軽にして鉄板の旨さだ。

表面の水気をペーパータオルでよ~く拭き取り、シーズニングをまぶす。燻製食品は酒のツマミになることがほとんどなので、筆者は「ちょっと多いかな」ぐらいをスパイス類の適量と考えている。

アルミホイルで表面をカバーしたメスティンの底に、スモークチップを投入。そして純正のメッシュトレイを、百均クリップでフチの高さに浮かせて固定した。

底にスモークチップを敷き詰める。ガスの炎で熱され、くすぶって煙を出すことになる(ハズだ)。

スモークチップと肉との距離が近いと肉が焼けてしまうので、間違ってもメッシュトレイをそのまま置くことはできない。

 

肉をトレイに乗せて燻製開始

シーズニングをまぶした牛もも肉をメッシュトレイに乗せ、フタをして火にかける。はやく煙を出したくて強火にしがちだが、スモークチップが燃え上がってしまうというミスは本当に「あるある」なので、焦らずじっくり、強気の弱火で挑みたい。

熱源はガスの炎。SOTOのシングルバーナーを使用した。輻射熱でガス缶が爆発しないよう、メスティンの向きはガス缶に対して直角に。

「強気の弱火」という、我ながらいい感じだと思った造語とともにスタートしたものの、なかなか煙が立ち昇らない。結局、燃え上がらせるミスを誘発しがちな「弱気の中火」に移行し、ジリジリと煙を待った。

ちょろちょろと弱々しい煙が漏れるだけで、景気よく煙が舞う状態に進まない。

長時間にわたる加熱により、メスティンの取っ手にある耐熱ゴムが溶け始めてしまった!

 

一応はローストビーフが完成

ガスに着火してから1時間、煙の勢いには不満が残るまま、燻製は終了。これ以上続けると肉に火が通り過ぎてしまう。フタを開けると旨そうなロースト肉が登場したが、スモークチップは余裕で半分以上が燃え残っていた。

やはり空気の循環に問題があるようで、スモークチップはたっぷりと焦げずに残っていた。が、肉自体は旨そう。

煙を求めるあまり、メスティン内の温度が高くなりすぎたのだろう。カットしてみると肉の赤い部分が少なかった。燻製香の乗りもいまひとつ……。モシャモシャとした食感も悪くはないし、市販シーズニングのおかげで旨いことは旨いのだが、燻製プレイヤーとしては敗北感が残る。

熱が通って変色した部分が厚く、ローストビーフのレア感に乏しい仕上がり。メスティン燻製では温度計が使えないことも大きく影響した。

まだまだ未熟な燻製の腕

というわけで2回にわたってメスティンを利用した燻製の様子をお伝えしたが、成功とは言えないチャレンジとなった。長い歴史のあるメスティンは、炊飯や調理のために数々の技術者が改良を重ねてきただろうし、燻製専用のスモーカーもまた、メーカーの技術者が燻製しやすいようにと工夫を凝らしている。燻製用でないアイテムを燻製に使うのは、筆者の腕ではまだ早かったようだ。……メスティン燻製、かっこいいと思ったんだけどな。

燻製では食材の脂が落ちて燃え上がることもあるし、温度計を使用して温度管理することが失敗しない大きなコツ。そのへんをクリアしている専用の燻製器が、やはり無難のようだ。

しかし成功しなかったとはいえ、食材を食べられない状態に貶めたわけではないし、富士山を望むロケーションでやった燻製はとても楽しかった。さて、次はどこでどんな燻製をしようか。

※燻製は火気を扱うため安全には十分注意してください。また実際に試される方は自己責任でお願いいたします。

 

STAFF CREDIT
Photography:Minoru Akiba
Writing:Minoru Akiba

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