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気になる商品を買ってみた、そして使ってみた!!
LEATHERMAN TREAD TEMPO

2018.06.08

マルチツールで知られる『LEATHERMAN』から時計がリリースされている。その名も「TREAD TEMPO」。金属バンド部分にマルチツールを搭載した、いざというときに頼れるウェアラブルツールだ。実際に購入し、2カ月ほど使用した感想をレポート!

『LEATHERMAN』の機能美

購入の動機として、もともと『LEATHERMAN』の製品が好きだった、ということがある。コンパクトに引き締まった重量感、ひたすら「機能」のみを搭載したストイックな佇まいは、男なら所有欲をくすぐられるハズだ。ともかく『LEATHERMAN』の製品はもう何年も気に入って使っている。「TREAD TEMPO」を購入するのは時間の問題だった。

筆者が愛用しているのは小型で汎用性の高い「MICRA」と優秀コスパの「WINGMAN」。

すべてのツールを展開させれば、ワクワク感が込み上げてくる。日用品としてガンガン使う……というわけでもないのだが、庭仕事やキャンプで助けてもらったことが幾度となくある。困ったときに頼りになるのだ。

 

「TREAD TEMPO」を購入!

正規品の輸入代理店『LEATHERMAN TOOL JAPAN』の公式オンラインショップで注文し、数日後に無事に到着した。想像よりもスタイリッシュな、高級感のある箱に納められていた。デフォルトで装着されているリンクが6つ、さらに付属品として3つ、計9つのリンクを装着すれば全30ツールを持ち運べることになるが、恐ろしい長さとなるので手首の太さ的に不可能。もったいないが取捨選択をしないといけない。

価格は¥73,440(税込)。箱の上蓋のなかにもリンク(マルチツールを搭載した金属バンドのピース)が入っている。

できるなら全部のリンクを装着したいが……どのリンクを装着するか? 悩みそうだ……。

 

装着するリンクを決める

装着することに決めたリンクを紹介しよう。今後、趣味に応じて選手交代するかもしれないが、とりあえず以下のリンクをスタメンとした。

[リンクその1] プラスドライバー、マイナスドライバー、ボックスレンチ(中央の穴)。 基本はコレかな、とまっさきに決めたドラフト1位リンク。プラスに比べてマイナスのビスはあまり見かけないなあ……などと思っていたが、このマイナスドライバーが想像を超えて役立つことになる(詳しくは記事の後半で)。

[リンクその2] 六角ドライバー×2、ボックスレンチ。 ドライバーの形状は正六角形ではないが、六角ボルトに見事にフィットする。六角ドライバーで構成されたリンクはもう1つあるので、ロードバイクなどを趣味とする人は六角ドライバー重視で攻めてもよさそうだ(ロードバイクにおける使用感は未確認)。

[リンクその3] ポジドライバー×2、ボックスレンチ。 ポジドライバーはプラスドライバーとは厳密には異なり、プラスのビスに使うことはできない。ポジドライブのビスはスノーボードのビンディングなどに使われているらしく、スノボを始めてみたい気持ちがあるので採用した。

[リンクその4] 栓抜き、セーフティーカッター、窓ガラス割り。 このリンクは他のリンクよりも長く、一枚に写せなかったので窓ガラス割りは下の写真で。セーフティーカッターの用途はいまいち思い浮かばないが、栓抜きは居酒屋などで使うこともでき、ちょっとしたネタになるな……という浅はかな思いが浮かんでいた。

[リンクその4・つづき] これが窓ガラス割り。 突起部分は超硬合金「タングステンカーバイド」製だ。クルマに乗った状態で水没したときなど、窓を叩き割って脱出できる。「そんな状況ある?」との意見もあるだろうが、転ばぬ先の杖、それが『LEATHERMAN』だ。

リンクの取り付け、取り外しにはタイムピース(時計)の裏側にあるリンクツールを使用する。バネの力でぴったりとはまっており、爪を引っ掛けてスライドさせると取り外すことができる。LEATHERMANのロゴもスタイリッシュでカッコいい!

リンクの固定はビス式なので、このようにビスを回してリンクを脱着する。 『LEATHERMAN』製品の堅牢性を知っているので、締め付けはギュウギュウと遠慮なく行った。それでもビス止め剤なしでは緩んでしまうのではないかと心配だったが、使用開始から2ヵ月、1本たりとも緩んではいない。どういう仕掛けがあるのかはわからず、正直、不思議である。

ちなみにリンクツールの裏側はヤスリになっている。まだ使用したことはないが、ヤスリという機能を「持っている」という事実が、マルチツールにおいては重要だ。

 

自分仕様の時計が完成

デフォルトの状態からリンクを2つ外し、自分の仕様とした。サイズ的にもちょうどよくフィット! リンクの増減だけで都合よくちょうどいいサイズになるものか……と思われるだろうが、その点、クラスプ(留め金)に工夫が施されている。

リンクのチョイスに悩みながら、自分仕様にカスタマイズ!

クラスプを横から見るとこの通り。6つの穴の位置により、微調整が可能となっているのである。この穴による調整は、できるだけ金属バンドを短くする方向で考え、リンクの装着数を最大限にするのが賢いやり方だろう。

 

TREAD TEMPOの活躍例

それでは実際にTREAD TEMPOのツールを使用したシーンを紹介したい。写真はあくまでも掲載用に撮影したイメージ写真。「こういう状況で役に立った」「試してみた」という再現であり、リアルタイムに撮影したものではないことをお断りしておく。

寝室のドアノブが緩んでガタついていた。「直さないとな」と思いつつも、即座に工具箱を取りに行くガッツはなく、「直さないとな」と思うだけの日々が続いていた。

こうした「ちょっとビスを締めたいだけ」という状況でTREAD TEMPOは本領を発揮する。おもむろに腕時計を外し、こともなげにビスを締め付けてガタツキを退治することができた。さすがに普通のドライバーのようにくるくると回すことはできないので、半回転ずつ何回かに分けて締め付けないといけないが、「気になったときにすぐに対応できる」のが素晴らしい。

ボックスレンチ(六角形の穴)は、自転車のボルトで試してみた。路上で緩みを発見したときなどに役立ちそうである。

実際に回してみたが、ただボルトにはめ込んで気楽に回そうとしても、固くて回らない。TREAD TEMPO全体をしっかりと握り込んで、スパナのようにテコの原理を利用して力をかける必要があった。
時計という精密機器にそんな負荷をかけて大丈夫なのかと不安になるが、心配は無用。じつはTREAD TEMPOには前身となるモデル、時計のついていない「TREAD」という製品がある。2015年に発売されたTREADは、マルチツールをブレスレットとして持ち歩けるというウェラブルツールで、当初は時計をつけて発売する計画だった。しかし負荷に耐えられる時計ボディの開発に念には念を入れ、2年後にようやくTREAD TEMPOが完成したのである。万が一壊れても、時計本体には2年、金属バンドには25年の保証がついている(正規輸入品の場合)。

「マイナスのビスはそんなに見かけないし……」と冷遇していたマイナスドライバーだったが、プライバーというかなんというか、鉄のツメとして役立つ場面が多い。例えばダンボールの梱包を開けるときに、わざわざカッターを探す必要はない。

破って開けるタイプのパッケージでも、この鉄のツメが活躍する。ツメを立てても伸びるだけで破れない、頑固なビニールパックの乾電池を取り出すときに役に立った。写真のボックスティッシュはそれほど開けにくいわけでもないが、生身のツメを使うよりも断然スマート。

旅先や出張先で靴下を購入し、ナイロンの白いアレに絶望した経験はないだろうか? ハサミがないからといって強引に引き抜くと、靴下自体にダメージを与えてしまう。しかしTREAD TEMPOを身に着けていれば、セーフティーカッターが難なく解決だ。

あまり使う機会がなさそうと思っていた六角ドライバーだが、カメラの三脚に六角穴のボルトがあった。ただでさえ機材のかさばる撮影現場に工具を持って行く余裕はないので、いざというときに助かりそう。これはプラスドライバーやボックスレンチにも同じことが言え、撮影機材に関する「備えあれば憂いなし」を腕時計が担ってくれるのは大きい。

セーフティーカッターについて補足を。刃物は押し当てるだけでなくスライドさせないと切れないものだが、セーフティーカッターの刃には小スペースながらもスライドさせる刃面の余地があり、扱いに慣れれば紙やスナック菓子の袋もイケる。自己満足ではあるが、上達することによる快感もあった。

人前で使いたいツールNo.1、栓抜き。TREAD TEMPOを腕から外し、しっかりと握って使う方が安定するのだが、「腕に着けたまま」がやはりカッコいい。こちらも慣れが必要だが、ぜひマスターしてさりげなく披露したいところだ。

ちなみに購入直後の筆者は居酒屋で何度も披露していい気になっていたが、未熟さゆえに瓶ビールを倒して先輩のスーツを濡らしてしまい、そのあと猛省、特訓した。

窓ガラス割りを試してみたかったのだが、クルマの窓ガラスを入手することができなかった。かわりにアルミボトルに打ち込んでみたが、薄い部分はボールペンなどでも貫通するので、威力を示すことにはならない。いつの日かJAFの協力を得るなどして、使用感をレポートしたいところだ。

 

TREAD TEMPOのつけ心地は?

筆者は手首が細い方だ。手首を握ると中指と親指が届く細さで、女性用のブレスレットでも装着できてしまう。なのでTREAD TEMPOの購入には勇気が必要だった。「自分にはゴツすぎるのではないか」「ボディが重くてバンドが緩いという、ストレスの溜まるつけ心地が待っているのではないか」……そんな不安は今、遠い過去のものとなった。ゴツいはゴツいのだが、しっかりとした造りのアウトドアブーツのような、そういう類のゴツさなので、違和感なく腕になじむ。ボディは決して軽くはないが、クラスプの微調整によりぴったりサイズにバンドを調整できるので、ストレスは生じなかった。

筆者の趣味のひとつにキャンプがあるので、傷のつきにくいサファイヤクリスタルの風防、20気圧防水という時計そのものの性能にも助かっている。上の写真で助手席に座っているのは、キャンプ帰りの息子。男として、父として、今よりももっとTREAD TEMPOが似合うようになりたいと思っている(筋トレはじめました)。

STAFF CREDIT
Photography:Minoru Akiba
Writing:Minoru Akiba

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