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デキる男の手土産スイーツ【船橋屋のくず餅】

2018.07.11

訪問時のちょっとした手土産、これのチョイスがなかなか難しい。話題のスイーツなどに詳しければいいのだが、あまり自信がないのが男性の実情だろう。そこでオススメしたいのが、古くから続く老舗店のロングセラー商品。名声や品質に間違いがないことは、歴史が証明している。

200年以上の歴史がある「元祖くず餅」

取材に訪れたのは「亀戸天神前本店」。亀戸天満宮のすぐ隣に位置する。総武線の亀戸駅から徒歩で約10分、総武線・半蔵門線の錦糸町駅からも徒歩で約10分。『船橋屋』の文字は常連だった文豪・吉川英治が書したものだ。

OVER30(オーバーサーティ)ともなると、手土産にもひとひねり欲しいところだ。どこででも買えるような菓子折りでは芸がないし、相手によっては「安く見られたな」なんて不本意な感想を抱かれることも……。
そこで間違いのない手土産としてオススメしたいのが、歴史ある老舗の名物。昔ながらのこだわり製法が守られていたり、歴史上の人物が登場するような逸話があったりして、話のタネにもなる。
今回、OVER30にオススメする手土産は『船橋屋』の「元祖くず餅」。『船橋屋』の創業は1805年、200年以上の歴史を誇る老舗中の老舗だ。

船橋屋 亀戸天神前本店
東京都江東区亀戸3-2-14
03-3681-2784
営業時間:9:00~18:00(イートインは~17:00)

創業以来続く『船橋屋』の名物「元祖くず餅」。厳選された小麦粉のでんぷん質を乳酸発酵、熟成させるのだが、その期間はなんと15ヶ月! それでいて消費期限はたったの2日間という、なんとも粋な贅沢スイーツである。独特の歯ごたえ、きなこと黒蜜が演出する上品な甘さは、一度は食べておきたい伝統の味わいだ。お察しの通り、いっさいの添加物は使用されていない。芥川龍之介が授業を抜け出して食べていた、という逸話も。

伝統の逸品が気軽にテイクアウトOK

取材に訪れた亀戸天神前本店では、のれんをくぐるとすぐに目の前にショーケースがあり、手早くテイクアウトすることが可能。サイズは5種類あり、訪問先の人数に応じて適したサイズを購入できる。消費期限が2日間と短く、過剰な量を持参すると無駄になってしまうので注意が必要だ。

店に入ればすぐ目の前にこのショーケースが。テイクアウトできる箱のサイズは次の5種類、カップ(1人用)/450円、小箱(1~1.5人用)/760円、中箱(2~3人用)/870円、大箱(4~5人用)/1,080円、特箱(6~7人用)/1,300円。価格はすべて税込みだ。

「さすがは老舗」と思わざるをえない、店員さんの丁寧な応対も気持ちがいい。お客さんの少ない時間帯を狙って取材させてもらったが、それでも来客はひっきりなしだった。

ビジネスマン風のお客さんが買っていくサイズは中箱(2~3人用)が多いそう。実際に持ち帰って来たが、苦にならないサイズである。はたして量的にはどうだろうか、中身をチェック。

中にはくず餅ときなこ、黒蜜。実食してみたところ、4人で食べても充分な量に感じられた(あくまでも個人の感想)。ちょっとしたお茶請けとしては6~8人に対応しているように思う。

オフィスへの手土産の場合、食器を用意することが先方にとって負担になる場合もある。そんなときは1人用のカップ入りを複数個、という手も。持ち運びしやすいよう、ちゃんと箱詰めしてもらえる。

移動ルートの都合で、亀戸天満宮に寄ることが難しいビジネスマンも多いことと思う。しかし入手の心配は無用。『船橋屋』の店舗は取材した亀戸天神前本店を含めて5店舗、テイクアウト専門の売店なら20ヶ所もある。
2日間という消費期限の関係で首都圏に集中してはいるが、それがかえって希少価値を高めている面もあるだろう。ちなみに取材時に利用したJR錦糸町駅でも、改札内の『KIOSK』で大々的に扱っていた。

イートインで休憩するのもよさそう

企画コンセプト上の都合で、ここまでテイクアウトばかりを取り上げてきたが、『船橋屋』の店舗ではイートインでも気持ちよく過ごせる。改装されながらも伝統の感じられる、落ち着きのある店内でひと休みしてはいかがだろう。

モダンな和のセンスがほとばしる店内。窓から往来を眺めるのもいいが、店内の雰囲気に浸るのもオススメだ。

ボックス席を中心とした客席。照明の明るさが絶妙なので、ファミレスとは一味違ったひとときを過ごせるだろう。

くず餅以外のメニューも豊富で、和スイーツ好きにはたまらない。甘いものが苦手な辛党には、オリジナル酢醤油でいただく「ところてん」がある。

客席からは品のいい中庭を眺めることができる。晴れている日はこの中庭にも客席が設けられ、和の情緒を存分に味わうことができる(取材時は雨上がり)。

『船橋屋』の新たな名物となりつつあるのが、毎年、夏季に提供されるかき氷だ。2018年からは全シロップに「くず餅乳酸菌®」を配合、おなかにやさしい仕様となった。写真は一番人気の「宇治金時」。実際に試食させてもらったが、ふわっふわの食感で爽やかな甘さ、そして大満足のボリュームだった。税込950円。

絶品の黒蜜を活用してみた

のれんの文字は吉川英治が書したものであると前述したが、彼が大きな書を残しているのは非常に珍しい。当時の店主に特別に頼まれて書いたものらしいが、依頼に応じた理由は『船橋屋』の黒蜜にある。
吉川はパンに黒蜜を塗って食べるのが好きだったそうで、より美味しい黒蜜を求めてあちらこちらで買い求めた結果、最終的に『船橋屋』の黒蜜を気に入ったのだそうだ。看板を書くのを断れないほどに。
なるほど「元祖くず餅」は餅の絶妙な歯ごたえと爽やかな香りが特徴ではあるが、黒蜜の上質な甘さも見逃せない。というわけで吉川英治の真似をしてみた。

テイクアウトして実食した「元祖くず餅」の中箱、それに付属する黒蜜が余ったのでバタートーストに塗って食べてみた。これは確かに美味い! テイクアウトの「元祖くず餅」には黒蜜が多めに入っているので、ぜひ試してみてほしい。

 

STAFF CREDIT
Photography:Minoru Akiba
Writing:Minoru Akiba

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